更年期障害症状(頭痛、冷え、動悸、寝汗、腰痛、肩こり等)

更年期障害の代表的な症状としては、「のぼせ」ないし「ほてり感」(最近では「ホットフラッシュ」という言葉で一般にも浸透しています)、発汗過多、寝汗、冷えなどで、これらは血管運動神経症状と呼ばれています。 それ以外にもイライラ感・不安感・睡眠障害・抑うつ感といった精神神経症状、頭痛・めまい・耳鳴りなどの頭部症状、動悸・息切れ・頻脈などの呼吸・循環器系症状、手足のしびれや手のこわばりなどの末梢神経症状、肩こり・腰痛・腰背部痛・関節痛などの運動器系症状、易疲労感など多種様々な症状が認められます。

更年期障害を疑うポイント

  1. 更年期の年代に相当する
  2. 月経が不順になっているか既に閉経している
  3. 症状に起因した明らかな他の病気を認めない
  4. 「のぼせ」「ほてり」「発汗」などの症状を認める
  5. 症状そのものが時事刻々変化し、その程度に波がある

更年期症状の発症頻度

更年期症状の発症頻度

主な症状別の特徴やアドバイス

頭痛

症状の特徴や傾向

頭痛は、更年期外来を受診する更年期女性にも比較的よく認められ、軽視出来ない症状の1つであると言えます。一般的に頭痛は、頭の中の病気(くも膜下出血、脳腫瘍など)に由来する二次性頭痛と、頭痛の出現パターンが診断の決め手となる機能性頭痛とに分類されます。機能性頭痛は、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に分類されますが、このうち片頭痛は30〜40歳代の女性に、緊張型頭痛はいずれの年代でも女性の有病率が高いという特徴があります。
したがって、更年期の女性で頭痛が気になる方は、まずその頭痛がいつ頃から認められるか思い出してみて下さい。若い頃からありませんでしたか?頭痛がみられる時期が、生理の周期と関係ありませんでしたか?あるいは急に頭痛が現れて、その痛みがどんどん悪くなっていませんか?
上記に記したような片頭痛や緊張型頭痛の可能性はないのかどうか、また急速に悪くなる頭痛の場合、緊急の対応が必要な、くも膜下出血などの可能性もありますので、まずは神経内科や脳神経外科を受診されることをお勧めします。

簡単なアドバイス

更年期女性の二次性頭痛でない頭痛に対しては、対症的には解熱鎮痛剤や片頭痛の場合にはトリプタン系の薬を使います。また慢性に続く頭痛で中年以降または高血圧の傾向のあるものへの効用が知られている釣藤散(ちょうとうさん)や手足が冷えやすく中等度以下の体力を有する者の習慣性片頭痛や習慣性頭痛への効用が知られている呉茱萸湯(ごしゅうゆとう)といった漢方薬が、全体的な頭痛の発作回数の低下や症状の改善に有用であることもあります。

冷え

症状の特徴や傾向

更年期女性のみならず、「冷え」ないし「冷え症」を訴える女性は少なくありません。「身体の他の部分はまったく冷たさを感じないような室温において、身体の特定の部位のみが特に冷たく感ずる状態」というような定義付けも成されていますが、この「冷え症」に対しては、明確な定義・診断基準がいまだ存在せず、本当に病気なのか?病気だとしたらどのように診断するのか?あるいは病気ではなくそのような状態を表現する用語なのか?西洋医学の世界ではその実態はまだよく分かっておりません。 ところが漢方医学の世界では、手足あるいは身体の「冷え」は、病態を把握する上で重要な所見されており、「冷え」を来す者に対しての有効な漢方製剤も複数存在します。

簡単なアドバイス

治療薬としては、いわゆる西洋薬には有効なものはなく、漢方薬が主体となります。具体的には、半夏白朮天麻湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、十全大補湯などを用いることが多いです。詳しくは外来にてご相談下さい。

動悸

症状の特徴や傾向

更年期の女性において、特に理由なく動悸がしたり、息苦しく感じたりすることがみられる場合があります。これらの症状は、その原因はよく分かっておりませんが、「のぼせ」「ほてり」のように女性ホルモンの低下と関連が深い症状とも言えない症状です。もちろん、心臓や肺などの呼吸・循環器系の病気は認めないという前提に立ってのお話ですので、そのあたりの検査(心電図、心臓の超音波検査、胸のX線検査など)を受けていない場合は、まずは呼吸・循環器内科を受診することをお勧め致します。

簡単なアドバイス

心臓や肺などの呼吸・循環器系の病気でなければ、動悸が気になる時の対応としては、精神安定剤(抗不安薬)を服用することが一般的です。その他、全体的に気持ちを落ち着かせるために、精神安定作用を有する漢方薬を処方することもあります。詳しくは外来にてご相談下さい。

肩こり

症状の特徴や傾向

“肩こり”という症状は、老若男女を問わず認められ、一般の方にもよく知られている症状の1つだと思います。更年期の女性においても、“肩こり”を訴える方は少なくありませんが、どのような特徴を有し、日常生活にどのような影響を及ぼしているのか?その実態は未だ十分に解明されていないのが現状です。一般的には、パソコン作業など肩の筋肉に負担のかかる作業に従事する方には多いようですが、必ずしも更年期に入ってから出現したのではなく、若い頃から引きずっている方も少なくありません。

簡単なアドバイス

いわゆる“肩こり”という状態では、肩関節の運動には支障はありません。もし「肩が(上に)上がらない」「洋服を着替える動作が出来ない」というようなことがある場合は、「肩こり」ではなく「五十肩」の可能性があります。ひどい肩こりがある方は、まず整形外科を受診され肩関節の他の病気の可能性がないかどうか確かめることをお勧めします。
実際の治療としては、筋肉の緊張を弛緩させる作用のあるお薬や解熱鎮痛剤を用いることが多いですが、治療効果にはかなり差がみられます。日々の日常生活の中で取り入れることが可能な、マッサージ、鍼灸、各種体操なども含めて気長にフォローする必要があります。

腰痛

症状の特徴や傾向

腰痛も肩こりと同様に、老若男女を問わず認められ、一般の方にもよく知られている症状の1つだと思います。更年期の女性においても、腰痛を訴える方は少なくありませんが、整形外科領域で腰痛の原因として一番多いのは、明らかな骨・筋肉の病気ではなく、腰痛というあくまで症状が主体の「腰痛症」という病態です。更年期の女性の腰痛も同様で、筋肉・靱帯の日常的な動作から来る疲労や永年に亘る加齢変化などに由来したと思われる「腰痛症」が最も多いと思われます。ただひどい腰痛がある方は、一度は整形外科を受診され、「椎間板ヘルニア」や「腰椎すべり症」などの他の病気の可能性がないかどうか確かめることをお勧めします。

簡単なアドバイス

実際の治療としては、筋肉の緊張を弛緩させる作用のあるお薬や解熱鎮痛剤の湿布剤などを用いることが多いです。肩こりと同様に、日々の日常生活の中で取り入れることが可能な、マッサージ、鍼灸、各種体操なども含めて気長にフォローする必要があります。

寝汗

症状の特徴や傾向

「のぼせ」「ほてり」は、多くの更年期女性が経験する最も女性ホルモンの低下と関連が深い症状であることはよく知られています。通常「のぼせ」「ほてり」と言えば、昼間活動している時間内に認められるものと何となく考えられていますが、実際には昼夜を問わず認められます。この「のぼせ」「ほてり」が、夜間睡眠時にも認められる場合を欧米では‘night sweats(寝汗)’と表現しているようです。昼間にあらわれる場合と大きく異なることは、夜間に症状が認められた場合は、そのために一晩に何度となく目が覚めることになり、ひどい場合は睡眠障害となることです。

簡単なアドバイス

「のぼせ」「ほてり」と同様に、最も女性ホルモンの低下と関連が深い症状ですので、ホルモン補充療法(HRT)が有効です。詳しくは外来にてご相談下さい。