2024.04.30

志木市・和光市の子宮頸がん検診を受診される皆様へ

令和6年度の市のがん検診事業が、志木市は5月1日より、和光市は7月1日より開始されますが、
志木市ならびに和光市の子宮頸がん検診の検査方法が一部変更されます。
すなわち、「30歳以上60歳以下の者に対する子宮頸検診は、HPV単独検査とする」ことになりますが、
当院では以下に掲載するような理由で、これに関しては行いません。
それ以外の年代における従来型の細胞診での検診はこれまで同様受け付けます。

このHPV単独検診をご希望の方は、大変申し訳ありませんが、それが施行可能な他の医療機関を受診するようにお願い申し上げます。
もし当院での子宮頸がん検診をご希望の場合は、従来型の検診を(市の検診とは別に)施行させて頂きます。
志木市ならびに和光市にお住まいの方にはご不便をお掛けしますが、何卒下記の【当院が、HPV単独検診を行わない理由】をお読みいただき、
当院の方針にご理解を頂きます様、宜しくお願い申し上げます。

【当院が、HPV単独検診を行わない理由】

従来より子宮頸がん検診には、子宮頸部より採取器具により細胞を採取し、それをガラス標本にて評価する「細胞診」が主に行われてきました。
さらに、子宮頸がんの発症要因としてヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が知られるようになってからは、その発症に関わるHPV感染の有無を調べるHPV検査法も状況により併用されるようになり、志木市では既に一部の検査に導入されておりました。ところが、本年2月に厚生労働省から出された「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」では、「30歳以上60歳以下の者に対する子宮頸がん検診はHPV検査のみで行い、それが陰性の場合は、次回検診を5年後とする」とする指針が示されました。
この指針を出した根拠とされる論文は、確かに米国から出てはおりますが、わが国のようにHPVワクチンの接種率が極めて低い国では、それが日本人においても妥当な指標なのか検証が必要であり、またあくまでこれは子宮頸がん検診に限ったお話であり、子宮体がん・卵巣がんなどの悪性疾患ならびに子宮筋腫・卵巣嚢腫などの良性疾患も含めて、「5年間、婦人科受診も必要なし」と拡大解釈された場合、それらの疾患の早期発見・早期治療の機会を逃すことにもつながり、大きな社会問題となる危険があります。
そこで、全国の産婦人科医で組織している日本産婦人科医会ならびにその下部組織である埼玉県産婦人科医会では、令和6年度からの30歳以上60歳以下の者に対する子宮頸がん検診について、「5年間隔のHPV単独検診は時期尚早」と反対の立場を表明し、その明確な理由(下記参考PDF資料をご覧下さい)も添えた要望書を埼玉県内の全ての市町村長宛ならびに各市がん検診担当者宛に書面で提出させて頂き、再考を求めて参りました。
にも拘わらず、志木市と和光市は、導入ありきでこの要望書に対して全く聞く耳を持たず、令和6年度から導入される運びとなりました。
朝霞地区医師会所属の産婦人科医は皆同じ見解を持っていますが、医師会全体として強行に反対することで市のがん検診事業自体に混乱を招くことを避けるため、朝霞地区医師会としては追認しましたが、実際にこの検診を行うかどうかは各医療機関に委ねることになっております。
したがいまして、当院は、日本産婦人科医会ならびに埼玉県産婦人科医会の「5年間隔のHPV単独検診は時期尚早」という提言に賛同し、
志木市ならびに和光市の「令和6年度からの30歳以上60歳以下の者に対するHPV単独検診」は請け負わないことに致しました。
 
※参考:要望書の説明資料
 
 

牧田産婦人科医院

院長 牧田和也