当院に「更年期障害外来」で受診いただいた患者様の症例を、ケーススタディとして一部ご紹介します。
似た感じの症状等でお悩みの方は、一度お気軽にご相談ください。

女性会社員(51歳)

現病歴

初経より月経周期は正順であったが、約1年前より不順となる。
ちょうどその頃から「顔がほてる」「外が寒い時でも汗をかく」「胸がドキドキする」「疲れやすい」などの症状が出現し、これらの症状が気になるため受診。

既往歴

18歳 虫垂切除術施行。それ以外に特記すべきものなし。

診察所見

内診上、子宮はやや小。両側付属器は触知しない。

臨床検査

血清FSH 57mIU/ml,血清Estradiol(E2) 12 pg/ml

主婦(45歳)

現病歴

約1年前(44歳時)に、子宮内膜症による月経痛がひどいため単純子宮全摘出術および両側付属器切除術を施行した。
術後経過は良好であったが、退院後より「顔のほてり」や「発汗」が気になるため再度受診。

既往歴

44歳時の手術以外には、特記すべきものなし。

診察所見

内診上、腟断端および骨盤腔内に異常所見を認めず。

臨床検査

血清FSH 72mIU/ml,血清E2 10 pg/ml未満

主婦(48歳)

現病歴

下記既往歴のため手術を行うが、術後8ヶ月頃より全身倦怠感、両手のしびれ感、手足の冷え、のどの渇きなどが出現したため、女性ホルモンの欠落による症状を疑い当科を受診した。

既往歴

47歳時 子宮筋腫および両側卵巣嚢腫にて、単純子宮全摘出術および両側付属器切除術を施行。

診察所見

内診上、子宮はやや小。両側付属器は触知しない。

臨床検査

血清FSH 57mIU/ml,血清Estradiol(E2) 12 pg/ml

主婦(45歳)

初診時主訴

突然に発症した動悸・息切れ。
※当科初診までに2回このような症状が出現し、1回は救急車で当院救急外来を受診した。

月経歴

28日周期で正順。

妊娠分娩歴

2経妊2経産。

既往歴

30歳 虫垂炎にて虫垂切除術施行。

家族歴

実父→脳溢血、実母→糖尿病。

初診時検査

血清FSH 1.2mIU/ml,血清E2 95 pg/ml,Hb 14.4 g/dl

臨床経過

当院内科でも画像検査と心電図検査を施行。
→脳MRI、心エコーに異常所見なし。
→Holter心電図上、時々リズム不整はあるものの、有意なものではない。

女性会社員(53歳)

初診時主訴

顔面紅潮、不安感、息苦しさ、めまい感、不安感に対して、近医(内科)で精神安定剤の処方を受けている。

月経歴

47歳 閉経。

妊娠分娩歴

3経妊3経産。

既往歴

50歳 胆石にて胆嚢摘出術施行。

初診時検査

血清FSH 73.4mIU/ml,血清E2 10 pg/ml未満

臨床経過

上記検査データおよび本人の希望もあり、ホルモン補充療法を開始したところ、顔面紅潮は改善した。
しかし不安感、息苦しさは解消しないため、精神安定剤を併用としたホルモン補充療法を開始して約1年後、(申し出により)休薬するも特に大きな変化を認めなかった。
何気ない外来での話しの中で、「(当初の)症状が出現した頃、特に悩みはなかったと思う。家庭内では長女の結婚が予定されていた。」という事実が改めて判明した。

女性会社員(49歳)

現病歴

46歳時に、子宮筋腫および右卵巣嚢腫にて単純子宮全摘出術および右付属器切除術を施行したが、術後1年が経過した頃より、顔のほてり感、異常な発汗、イライラ感を自覚、当科更年期外来を紹介受診した。

既往歴

18歳 虫垂切除術施行
46歳 子宮筋腫および右卵巣嚢腫にて単純子宮全摘出術および右付属器切除術

診察所見

腟断端および骨盤腔内に異常所見を認めず。

初診時検査

血清FSH 92.8mIU/ml,血清E2 20 pg/ml未満

臨床検査

血液検査の上では、特記すべき異常所見を認めない。
精神的症状が主体であるため、問診とともに自己抑うつ評定法(SDS)への記載を依頼した。

臨床経過

結合型エストロゲン製剤によるホルモン補充療法を開始したところ、諸症状の改善をみた。
その後ホルモン補充療法を開始して約2年が経過した頃に、突然の気力低下と気分不快が出現し、増悪傾向を認めたとの訴えあり。