コラム:更年期の方は要注意!「脂質異常症」について

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「脂質異常症」という病気をご存知でしょうか?

脂質異常症とは、血液中の脂肪成分(脂質)が多くなったり、また逆に少なくなることで体に異変を引き起こす病気です。「サイレント・キラー」とも言われる病気のひとつで、体調不良や体の痛みなどの自覚症状が全くと言っていいほどないため気付きにくいやっかいな病気です。

近年の欧米化した食生活や生活習慣の変化によって、脂質異常症は年齢を問わず発症する恐れがあるため、病気に対する正しい知識を身につけることに加え、日頃の意識的な予防が大切になります。

放っておくと怖い脂質異常症とは?

「脂質異常症」は、血液中にある脂質のひとつである「悪玉コレステロール(LDL)」や「中性脂肪(トリグリセイド)」の数値が高すぎる状態、または「善玉コレステロール(HDL)」の数値が低すぎる状態のことをいいます。

脂質にはいくつかの種類が存在していますが、その中でも「悪玉コレステロール(LDL)」が体内で増えすぎると、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患を進行させる原因になるため「悪玉」と呼ばれています。また、中性脂肪(トリグリセイド)も増えすぎると動脈硬化につながります。

一方、悪玉コレステロールを回収し、動脈硬化を抑える働きをしているのが「善玉コレステロール(HDL)」です。
以前は悪玉・善玉を分けずに、それら全てを示す総コレステロールの数値が高いと「高脂血症」と呼ばれていましたが、善玉コレステロール(HDL)はコレステロール数値が低いことが問題となるため、「高脂血症」という名称を止め、「脂質異常症」と呼ばれるようになりました。

脂質異常症は、体調不良や体の痛みといった自覚症状はありませんが、放っておくと知らず知らずのうちに脳梗塞や心筋梗塞、狭心症などを引き起こす動脈硬化発症の最大の原因となりうる恐ろしい病気です。

更年期には脂質異常症になりやすい?

厚生労働省が2012年に発表した調査結果によると、脂質異常症が疑われる人の割合は男性22.3%、女性17.7%と、約5人に1人が脂質異常症予備群と言っても過言ではないほど、脂質異常症は他人事ではない病気です。

特に更年期を迎えた女性は注意が必要です。
更年期の女性は男性と比較して、脂質異常症が疑われる人の割合が急激に増加します。更年期に入ると、これまでコレステロールや中性脂肪の上昇を抑えてくれていた女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少するため、脂質異常症が好発しやすくなります。

また、更年期そのものの不定愁訴によってストレスを抱えたり、夫婦間や親子関係、仕事面などのライフスタイルそのものの変化も多く、そういう意味で脂質異常症が起こりやすい条件が重なる時期であるともいえそうです。

脂質異常症の原因は?

脂質異常症は、食べ過ぎと運動不足による肥満、過剰なアルコール摂取、喫煙、ストレスなどの生活習慣が主な原因といわれています。

男性に多く見られる「内臓脂肪型肥満」は、食生活と運動不足が原因となってお腹の中に脂肪が蓄積し、体内の善玉コレステロール(HDL)が減少している傾向があり、脂質異常症に直結する恐れがあるので注意が必要です。

更年期を迎えた女性は前述の通り、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が原因となり脂質異常症発症のリスクが高まることが知られています。

家族性高コレステロール血症は、血の繋がったご家族で脂質異常症の方が多い場合に、生活習慣に関係なく遺伝的な要因で起こる恐れがあります。

また、糖尿病などの生活習慣病が原因で、脂質異常症を併発することがあります。

生活習慣を改善して脂質異常症を予防しよう

脂質異常症の予防には、栄養バランスの取れた食事や、適度な運動が効果的です。健康な体で暮らすためにも生活習慣を見直してみることをオススメします。
さらに糖尿病などの生活習慣病の予防にもなりますので、できることから始めて健康的な体を目指しましょう。

また、喫煙や過剰なアルコール摂取も脂質異常症の原因となりますので、適切な量を適度に楽しむように心がけましょう。
日常生活で脂質異常症を予防するためには、具体的にどのようなことを行うべきかを以下にご紹介します。

食生活の改善

なるべく魚や野菜、果物などを多く食べ、脂肪分が多いものやスナック菓子などは控えましょう。

更年期を迎えた女性には、納豆や豆腐などの大豆製品がおすすめです。
大豆にはポリフェノールの一種で、女性ホルモンと似た働きをする「イソフラボン」が含まれているため、積極的に日々の食事に取り入れたい食品のひとつです。

食事はバランスよく、主食を中心に主菜や副菜を上手に組み合わせ、1日3食きちんとよく噛んで食べることが大切です。 食べ過ぎには注意し、腹八分目を心がけましょう。また、外食はできるだけ控えましょう。

適度な運動

体脂肪を減少させることも脂質異常症の改善に有効です。日頃から意識して適度な運動を生活の中に取り入れましょう。

適度な運動は脂質異常症だけでなく、さまざまな病気の予防やストレス解消に効果があります。ジョギングやウォーキング、サイクリングや水泳など手軽に始められるものから、無理をせず継続できるよう楽しみながら行いましょう。

また、運動をする時間の確保が難しい場合は、「エレベーターを使わずに階段を使う」など、日常生活の中で体を動かす工夫をしてみましょう。

当院でも、日本動脈硬化学会の脂質異常症管理基準に基づいた専門的な診察を行っています。気がかりなことがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。