妊娠すると女性の体には普段とは異なる様々な変化が起こり、マイナートラブルに悩まされるという声も多く聞きます。
その中でも、特に妊娠初期の最大の悩みともなりうる症状に「つわり」があります。

今回はそんなつわりの症状と原因、そしてつわりについてよく聞かれる噂をご紹介させていただきます。

つわりとは? つわりの症状

つわりの症状が出る時期は、個人差はありますが妊娠初期からおよそ妊娠16週ごろまでといわれています。

つわりの症状にはかなり個人差があります。
代表的な症状としては、頭痛やイラつき、眠気、吐き気、嘔吐、胃や胸のむかつき、嗜好の変化、嗅覚過敏などが挙げられます。

吐いても吐いても楽にならない「吐きづわり」、何か食べていないと気持ちが悪くなる「食べづわり」、逆らえないほどの強烈な眠気に襲われる「眠りづわり」など、様々な呼び方も存在しています。

また症状の重さにも個人差があり、つわりの症状が重く治療が必要な人から、ほとんど自覚がないままこれまで通りの生活を送れる方もいます。

妊娠した方の中で「つわりを経験した」と答える方は5割〜8割程度といわれています。多くの女性がつわりに悩まされているものの、妊娠したからといって必ずしも起こる症状ではありません。

つわりが重症化すると入院することも

ごく稀ですが、つわりによって激しい吐き気や嘔吐のため体重が減ったり脱水症状を起こすほど重症化することがあります。これを「妊娠悪阻(にんしんおそ)」といいます。
この状態になると母体にもお腹の中の赤ちゃんにも危険が伴う可能性があるため、入院や点滴などの処置が必要になることも。

そのため「多少具合が悪くてもつわりだから」と軽視せず、日常生活に支障をきたすほど症状が悪化した場合は、無理をせずに病院へ行き、早い段階で治療することが大切です。

つわりはなぜ起こる?

実はつわりの原因は、はっきりとは明らかになっていません。

代表的な説にホルモンバランスの変化による自律神経の乱れという説、胎盤が未熟な時期に胎児を異物と判断しているなどがありますが、医学的にはっきりとした原因はいまだにわからないままです。

出産への不安や、母親になることへのプレッシャー、そしてつわりそのものが精神的なストレスとなり、さらに症状を悪化させる原因の一つとも考えられています。
「つわりは、赤ちゃんを授かったからこそ感じられる変化である」と、前向きに穏やかな気持ちで乗り越えていくことも大切かもしれません。

つわりにまつわる噂とは

つわりは、原因がはっきりと分かっていないこともあり、昔からさまざまな噂が一人歩きしていました。
ここでは、代表的なつわりにまつわる噂についてご紹介いたします。

つわりが重いと女の子、つわりがないと男の子?

この他にもつわりの症状の種類や、つわりによる嗜好の変化で性別判断ができるという噂がありますが、これらが性別判断に関係する医学的な根拠はもちろんありません。
一般的に、お腹の中の赤ちゃんの性別がわかるのは妊婦健診で行われるエコー検査(超音波検査)で、時期は個人差もありますが一般的には20週以降と言われています。

母親のつわりが軽いと娘のつわりも軽い?

つわりは遺伝と関係があるという噂があります。
しかし、祖母や母親はつわりの症状が軽かったが、自分は重かったという方もいらっしゃいます。さらに、自分自身のつわりであっても、1人目と2人目では症状や重さが違う方もいらっしゃいますので、こちらの説も根拠は薄いようです。

働く女性はつわりが軽い?

つわりは個人差や周りの環境にも左右される症状ですが、もちろん働いている女性のつわりが軽いということはありません。 こういう噂があるのは、比較的つわりが軽い方が働き続けていて、症状が重い方はお休みをしているのを、側から見て「働いている女性はつわりが軽そう」という印象が一人歩きしてしまっているからかもしれませんね。

男性もつわりになる?

妊娠中の女性が症状に悩まされている時期、パートナーの男性も同じような症状に悩まされることが実際にあります。
これは「クーヴァード症候群」と呼ばれ、医学的に認められている症状です。

原因は分かっていませんが、つわりに苦しむ配偶者への同調や、父親になるという精神的な不安やプレッシャーによるものだと考えられています。
検査や判断がしづらく、身体的に異常がなければ、ストレスからくる症状などとして処理されてしまうこともあるそうです。

男性にもエコー検査で実際の赤ちゃんの様子を見てもらったり、生まれてくる子供のことを話し合ったり、夫婦でリフレッシュに出かけることで、プレッシャーが前向きな気持ちに変化していくかもしれません。

つわりとの上手な付き合い方

つわりは、妊娠した女性なら誰にでも起こる可能性がある生理的な症状です。
「ただのつわりだから」と軽んじて症状が悪化してしまうと、母体やお腹の中の赤ちゃんにとって大きな負担になります。

妊娠時には、遠慮せず積極的に家族や周囲の人、医師や助産師の力を借りて、身体的にも精神的にも負担が少ない快適な暮らしを心がけましょう。それがつわりとうまく付き合っていく一番の近道になると思います。

当院でも出産に至るまで専門的なサポートを行っています。
もちろんつわりの症状による負担や不安、気がかりなことがございましたらぜひ一度ご相談ください。