更年期障害が仕事に与える影響とは? 周囲への相談と体調管理のポイント
更年期障害の症状による体調の変化は、仕事にダイレクトに影響することも多く、自分が弱くなったのではないかと不安になる方もいるでしょう。
集中力の低下、疲れやすさ、急な体調不良による欠勤など、パフォーマンス全体に波が出やすくなります。
そのため、これまで当たり前にできていた仕事に違和感を覚えたり、自信を失ったりしてしまうケースも少なくありません。
更年期障害が仕事に与える主な影響は?
更年期にはホルモンの変動によって自律神経が乱れやすくなり、脳がうまく切り替わらなくなりがちです。
集中力が続かず、ちょっとした指示を見逃したり、いつもより作業に時間がかかったりと、小さなミスが増えてしまう場面も出てきます。
また、抑うつ的な気分になりやすく、「何をしても楽しくない」「やる気が出ない」と感じるようになる方もいますが、これらは意志の弱さではなく、ホルモンバランスの変化が原因であることが多いです。
さらに、日によって体調に大きく波が出るため、前日はバリバリ動けていても、翌日は立っているのもしんどい状態になるのも珍しくありません。
この不安定さが、周囲との温度差につながってしまうケースもあります。
無理が原因で辞めてしまわないための工夫
更年期の症状を無視して働き続けると、無理が限界に達して辞めるという決断をしてしまう事例もあるため、そうなる前にできるだけ工夫するのが大事です。
まず、自身の体調の波を記録し、スマホのカレンダーや体調管理アプリを使って、体が辛かった日や良かった日を記録しておくとリズムが見えてきます。
出勤の時間帯や業務量の調整ができないか、上司や人事に相談するのも大切です。
産業医や女性支援担当者がいる企業も増えてきており、「我慢」ではなく「対話」がポイントになります。
職場との関係で一番大事なのは、誰かにわかってもらえる安心感を作ることです。
例えば、直属の上司に「最近、体調に波がありまして」と正直に伝えると、業務の振り分けが変わったり、理解が得られたりするかもしれません。
すべてを詳しく説明する必要はありませんが、自身の状況を必要最小限で共有する勇気も必要です。
同僚との関係では、いつも通りに振る舞おうと気負うよりも、体調の良い日には自然に会話を交わし、辛い日は無理せずに伝えましょう。
日常生活でできるセルフケア

更年期の症状は、生活習慣の見直しで大きく和らぐ場合があります。
すぐに改善しなくても、少しずつの積み重ねで体調や気分が安定しやすくなるでしょう。
毎日の睡眠時間をきちんと確保する
更年期には不眠や中途覚醒など、睡眠トラブルが起こりやすくなります。
理想は6~7時間以上のまとまった睡眠ですが、「夜中に目が覚めても大丈夫」と思うだけでも、気持ちが楽になります。
就寝前にスマホやテレビを見過ぎず、ぬるめのお風呂に入ってからゆっくりベッドへ入るなどのルーティンを整えてみて下さい。
朝日を浴びて生活リズムを整える
朝起きたら、まずはカーテンを開けて太陽の光を浴びてみて下さい。
5分~10分浴びるだけで体内時計がリセットされ、自律神経やホルモンバランスが整いやすくなります。
出勤前の軽いストレッチとセットにすると、すっきりとした1日を迎えられるでしょう。
カフェインやアルコールを控える
カフェインが含まれるコーヒーや紅茶、アルコール類は交感神経を刺激してしまい、不安感やイライラ、不眠を引き起こしやすくなります。
完全にやめる必要はありませんが、例えば午後以降はノンカフェインのお茶やハーブティーに変えるだけでも、心身が穏やかになるでしょう。
軽いウォーキングなどで体を動かす
体をまったく動かさないと、気分も落ち込みやすくなります。
激しい運動は必要なく、おすすめは1日15分のウォーキングや、ゆっくりしたヨガ、ストレッチです。
運動が苦手な方は、通勤時に1駅だけ歩いたり、買い物ついでに階段を使ったりするのも立派なセルフケアです。
無理な完璧主義を手放して心を休める
更年期には、仕事で責任のあるポジションに就いている方も多く、自分でも気づかないうちに無理をしてしまいがちです。
「今日は70%くらいできたからOK」と、自分に合格点をあげる習慣をつけましょう。
日記やメモに頑張ったことを書き出すのも効果的です。
病院に相談してみる
そのうち良くなるだろうと思って我慢をしていると、症状の悪化や、仕事への支障が増える原因になります。
更年期は個人差がとても大きく、症状や原因、体質によって対応法も変わるため、自己判断せず、医師に症状を一通り伝えて適切な診断を受けるのが大切です。
治療法の主なものに、漢方療法とホルモン補充療法(HRT)の2種類があります。
漢方薬は体質や症状に合わせて処方されることが多く、副作用も比較的少ないため、抵抗なく続けやすいのがメリットです。
一方で、ホルモン補充療法(HRT)は、減少した女性ホルモンを補う治療法で、特にホットフラッシュ(ほてりや発汗)が強い場合に有効です。
また、病院を受診して更年期による症状だとわかると、説明がつく安心感が得られ、気持ちが軽くなることもあります。
職場にも病院にも早めの相談が大切

更年期の不調は、決して甘えでもなければ、我慢しなければならないものでもありません。
体調に波があるのを前提として、無理をせずに、工夫しながら自身にとって持続可能な働き方を見つけていきましょう。
当院でも、更年期の不調や更年期障害の治療に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。










重要なおしらせ