性感染症は銭湯や公衆トイレでうつる? 公共・商業施設での注意点

2021.02.18

クラミジアや淋病、梅毒などの性感染症の罹患率が増えている昨今、感染予防の啓蒙活動も各所で見られ、メディアでも大きく扱われています。

そのため、以前と比べると感染予防の意識が高まってはきていますが、なかには性交渉以外でも知らないうちに感染することがあるのではないかと不安を感じている方も少なくありません。
実際のところ、性感染症の感染経路は性交渉であることがほとんどですが、一部例外もあるので注意が必要になることも事実です。

性感染症は心当たりがなくても感染することはある?

性感染症(いわゆる性病)は基本的には性交渉で感染します。
したがって、性感染症の予防で最も大切なのは不特定多数との性交渉を避け、特定のパートナーとの性交渉の際も避妊具を使うことです。
この基本を守っていれば他人の体液に直接触れるような状況がない限り、性感染症に感染することはほぼありません。

しかし、銭湯や温泉、公衆トイレなど不特定多数が出入りする施設を利用する場面では少し話が違ってきます。

性感染症に感染する可能性がある場所・機会とは?

「腟トリコモナス症」と「毛じらみ」という性感染症をご存知でしょうか。
どちらも罹患者数の多い性感染症ですが、実は稀に性交渉以外でも次のような場所・機会で感染する可能性があるのです。

銭湯や温泉、サウナ

不特定多数が利用する銭湯や温泉、サウナでは状況によってはごく稀に性感染症に感染することがあります。
たとえばトリコモナス原虫やシラミ(寄生虫)が付着していた風呂イスや床、浴槽と性器の接触があった場合です。

トイレの便座

同じくトイレの便座に原虫や寄生虫があった場合は感染のリスクが高くなります。トイレでは下半身を露出するため、こうした可能性がある点は否めません。

タオルや服の共有

性感染症に感染している方とタオルや服を共有すると感染することがあります。
そういった観点からみればハンカチや寝具も例外ではありません。

以上のような事例は稀ですが、可能性ゼロではないのです。

心当たりのない性感染症を防ぐ対策

不特定多数の出入りがある状況においては、それぞれが前もって何らかの対策をすることが大切です。
特に入浴やトイレなど体を露出する場面では次のような点に注意しましょう。

銭湯や温泉では床に直接座らない

銭湯や温泉、サウナなどの場所では裸のまま直接床に座ることは避けましょう。
風呂イスを使用する際はお湯で座面を流し、タオルを敷くなどして性器が直接触れないように心がけてください。
座面が明らかに汚れている場合は使用せず、シャワーをおすすめします。

タオルや服を他人と共有しない

銭湯や温泉などではタオルや寝巻、ガウンなどをできる限り他人と共有しないようにしましょう。
また、宿泊先の寝具は新しいものに交換されているか確認した後に使用してください。交換されていないシーツやベッドカバーは性感染症を媒介してしまう可能性があります。

公共または商業施設のトイレの便座は使う前に拭く

駅や公園、商業施設のトイレは便座に汚れがついていないか確認し、ティッシュで軽く便座を拭いてから使用しましょう。
便座クリーナーや便座シートがある場合は積極的に利用してください。

基本的な衛生対策をしていれば心配は無用

繰り返しになりますが、性感染症の主な感染経路は性交渉です。
上記のような基本的な衛生対策をしていれば、日常生活の中で感染してしまうリスクについてはさほど心配する必要はありません。

しかし、心当たりがなくても、気になる症状が現れた場合はすみやかに医師の診察を受けてください。症状の原因が何かわからないまま悩み続けることは大変ストレスになりますし、万が一感染していた場合は早めの治療が必要です。
なお、性感染症のほとんどは自然治癒することがない点も、この機会に覚えておきましょう。

当院でも、性感染症に関するアドバイスや指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。