ピルを服用する前に知っておこう! 副作用とリスクについて

2024.05.02

主に避妊を目的として使用される「ピル」ですが、なかには「副作用は大丈夫なの?」「長期間使っても安全なの?」といった心配や疑問を持つ方もいらっしゃいます。

ピルについて

「ピル」とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という二つのホルモンを含んだ「合成ホルモン剤」で、一般的には前述したように避妊目的で使用されることが多い薬です。
自発的に女性の体内で生成されるホルモンと同じような働きをし、受精卵の着床を防ぐなどの働きによって避妊効果を発揮します。

またピルには避妊効果だけでなく、月経痛の軽減、月経周期の正常化、月経日の移動、月経前症候群(PMS)の軽減、肌荒れの改善、さらには卵巣がんや子宮体がんのリスクを減少させるなどのメリットがあり、避妊ではなく、これらの効果を期待して処方されるケースもあります。
ピルを適切に使用すれば避妊だけでなく、健康と生活の質の向上に繋がるのです。

ピルの副作用

このようにメリットの多いピルですが、使用する上で副作用が出る可能性があることも知っておきましょう。

まずピルの使用を開始すると、身体が新しいホルモンバランスに適応する過程で、短期的な副作用が現れる場合があります。
これらは通常数ヶ月以内に自然と消失することが多いですが、個人差があり、症状の把握と適切な対応が重要です。

頭痛、片頭痛の悪化

ピルを使用し始めた直後や、使用をやめた直後に特に見られることが多い症状が頭痛です。
軽度の場合は市販の痛み止めで対処できますが、頻繁に発生し、日常生活に支障をきたす程の症状が出る方もいます。

吐き気

ピルを飲み始めた直後に吐き気を感じるケースがありますが、通常は数日から数週間で改善されます。
吐き気を軽減するために、ピルと同時に吐き気止めを処方される場合もあります。

気分変動

ピルによって不安やうつ症状を引き起こすケースもあります。
ホルモンバランスの変化が脳内の神経伝達物質に影響を及ぼすことが原因だとされていますが、特に気分障害などの精神疾患を患っている方や、過去に罹患していた経験がある方は、ピル使用時に症状が現れたり、悪化したりする可能性があります。

出血の変化

ピルの使用を開始すると、不規則な出血やわずかな出血が見られる場合があります。
これはピルによって子宮内膜の状態が変化するために起こり、使用開始から数ヶ月以内に安定することが多いです。

このほかにも乳房の張りや、下腹部の痛みが現れるというようなケースもありますが、これらの副作用は身体がピルに慣れるにつれて減少、または消失することがほとんどです。
しかし、健康状態や遺伝的要因などの個人差や、選択されたピルの種類によって異なります。
もしも副作用が長引いたり、日常生活に影響が出たりする場合は医師に相談し、必要に応じてピルの種類の変更や、ほかの避妊方法への切り替えなどの指示を仰ぎましょう。

長期的な健康リスクも?

短期的な副作用とは別に、ピルの使用はいくつかの長期的な健康リスクがあるという報告もあります。

血栓症

ピルに含まれる卵胞ホルモンには血液が固まりやすくなる作用があり、血栓症のリスクが高まるとされています。
特に高血圧、喫煙、年齢(目安として35歳以上)、肥満体型の女性はリスクが増加するといわれているため注意が必要です。

がんリスクの増加

ピルは卵巣がんや子宮体がんのリスクを減少させると前述しましたが、その一方で乳がんや子宮頸がんのリスク増加と関連しているという報告もみられます。

このような長期的なリスクについても医師にしっかりと確認をしておくことをおすすめします。

ピル使用時の安全対策

ピルを安全に使用するためには、適切な対策と注意が必要です。
ピルを使用している間は定期的に医療機関を受診し、特に初めて使用する場合や、副作用が気になる症状がある際は、早めに医師に相談しましょう。
身体の変化に注意を払い、頭痛の頻度や強さ、不規則な出血、気分変動など、異常を感じたらその都度受診をおすすめします。

またピル使用中はバランスの取れた食事を心がけ、特に吐き気がある場合は、軽くて消化の良い食事を摂ることで症状の軽減に繋がるでしょう。
喫煙はピル使用時の血栓症リスクを高めるため、ピルを使用している間は禁煙を強く推奨します。
そして定期的な運動は血行を良くし、血栓症のリスクを減少させるため、積極的に取り入れてみて下さい。

副作用の理解とリスク管理をして服用しよう

ピルは女性にとって効果的な避妊手段かつ、多くの身体的メリットもありますが、服用するにあたっては副作用や健康リスクの理解と管理が必要です。
副作用のリスクは、ピルを服用する前や服用中に医師と十分に話し合い、定期的な健康チェックを行うことで最小限に抑えられます。
常に自身の健康を第一に考え、医師との密な連携のもとで、ピルを安心して服用していきましょう。

当院でも、ピルに関するアドバイスや指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。