産後安静にすべき理由と安静期間の目安とは?

2022.01.28

出産で妊娠中の不自由から解放されたと思ったのも束の間、育児と家族の世話、家事など、毎日の生活は否応なしにやってきます。
ときどき「母親なんだからきちんとしなければ」という責任感から、心身ともにくたくたの状態のまま普段の生活に戻そうとする方がいらっしゃいますが、産後の体は非常に大きなダメージを負って全体的に弱っています。

そのため、産後のお母さんは可能な限り安静にして、体をしっかり回復させなければなりません。

産後は安静にすべき理由とは?

どのような場合でも、痛みやストレスのまったくない出産はありません。
特に日本では麻酔なしの自然分娩が主流であるため、長時間にわたる陣痛でお母さんの体には大きな疲労とダメージが残ります。
産後の体のダメージはよく「全治◯ヵ月の交通事故」に例えられますが、さらに次のような症状も現れるので、「産後が想像以上につらい」というお母さんたちの声が多いのは当然のことでしょう。

傷口や腹部の強い痛み

帝王切開での分娩の場合には腹部に、経腟分娩の場合には会陰切開が行われることがあるため、産後はその傷が痛みことがあります。
また、産後は妊娠で大きくなった子宮が収縮しながら元に戻ろうとするので、陣痛や生理痛に似た痛みを感じることもあります。

不定愁訴

産後は自律神経を整える女性ホルモンの分泌量が一気に減少するため、頭痛や冷え、抜け毛、慢性疲労、不眠、めまい、耳鳴り、肩こり、貧血、動悸などの、いわゆる不定愁訴の症状が出ることがあります。

全身の痛み

出産は全身に力が入るため産後はところどころ筋肉痛になり、力が入らないことが多くなります。重い物を持つのはもちろん、人によっては立ち上がるだけでつらいこともあるでしょう。
また、女性ホルモンの急激な減少で関節が痛み出すこともあります。

昔から「産後の肥立ちが悪いと……」といった表現がありますが、実際、無理をして体を動かしてしまったため、出産を機に病気がちになってしまったお母さんは多いのです。

いつまで休めばいい? 産後の安静期間の目安

産後は「体が大きなダメージを負っている」と認識し、しっかり休まなければなりません。
では、具体的にどのくらいの期間安静にする必要があるのでしょうか。
この点、分娩方法やお母さんの体力にもよりますが、概ね1ヵ月をみておきましょう。
なかには「1ヵ月も休めない!」と焦る方もいらっしゃると思いますが、産後1ヵ月の安静は、「1ヵ月丸々寝たまま過ごす」のではなく「1ヵ月間はなるべく家事や仕事をセーブし、体の回復を優先させる」という意味です。

すでに上のお子さんがいらっしゃる場合は難しいこともありますが、ぜひパートナーと協力して体の回復を最優先にできる体制を整えてください。
職場復帰の予定がある方は、この時期の休養がのちの仕事のパフォーマンスに大きく影響するので、しっかり体を休められるようにしましょう。
とにかく、体に負荷がかかったり、分娩時の傷が激しく痛んだりするような行動は控えてください。

産前にやっておきたい安静のための準備

産後1ヵ月の間に十分な休息を取るためには、生活に支障が出ないように前もって準備しておくことが大切です。

パートナーへの産後の体調の説明

まずはパートナーに産後、女性の体がどうなるのかしっかり学んでもらいましょう。男女で体の構造が異なる以上、何もせずに産後の体調を理解してもらうことは難しいので、一緒に各種資料やウェブサイト、書籍を読んでみてはいかがでしょうか。

産後の生活スケジュールや役割分担をパートナーと確認する

自宅に戻ってからは赤ちゃんの育児と「現実の生活」が待っています。
家族構成やパートナーの育児休暇取得の有無など、状況によってはかなり慌ただしくなるので、産前から退院後のスケジュールや家事・育児の役割分担などをお母さんに無理のない範囲で決めておくと良いでしょう。
「○週間になったらこれをやってみよう」「この期間はパパに〇〇をお願いするね」といったざっくりとしたもので構いません。

その際、産後2週間はお母さんの安静を最優先するスケジュールを立ててください。この時期は悪露や出血も多く、体力に自信がある方でも「起き上がるのがやっと」ということがあるからです。

便利なアウトソーシングサービスを探しておく

家事代行や食事の宅配など、便利なアウトソーシングサービスを利用すれば、お母さんの負担をかなり軽減できるはずです。余裕があれば、ぜひ検討してみましょう。
最近では産後家庭をターゲットにした家事代行サービスも登場しています。

また、産後のお母さんを育児・家事・体調管理・メンタルケアなどさまざまな面からサポートする女性サポーター「産後ドゥーラ」の活用もおすすめです。
産後ドゥーラはお母さんに寄り添うことを第一としているので、育児の不安を抱えるお母さんにとっては心強いでしょう。
自治体を通して申し込むと利用料が割安になることが多いので、気になる方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

上のお子さんの預け先を確保する

上のお子さんがまだ小さい場合は、しばらく預かってもらう方が賢明です。
実家や親戚に頼れないときは前述の産後ドゥーラや保育園の一時保育を利用する手もあるので、希望する場合には早めに予約・申し込みをしましょう。

早めに理解・助けを求めることが大切

ここ最近になってやっと、産後のお母さんの大変さが世間にも認知されるようになりましたが、まだまだ十分ではありません。
産後の体を癒しつつ、赤ちゃんとの時間を守るためにも、産前から「サポートをお願いしたい」と周りに伝えておきましょう。理解と助けを求めることはお母さん、赤ちゃん、そして家庭を守ることにつながります。
なお、通常、産後の体調不良は1~2ヵ月程度でおさまりますが、そのあとも続くようであれば、最寄りの産婦人科を受診することをおすすめします。

当院でも、産後の体調不良に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。