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更年期障害の治療でよく使われる漢方薬と服用する際の注意点

更年期障害の治療でよく使われる漢方薬と服用する際の注意点

健康ブームが到来してから久しいですが、最近は糖質制限や筋トレ、ハーブなどとともに漢方薬にも注目が集まるようになりました。
病気の治療・予防、日々の体調管理、滋養強壮などに幅広く使われる漢方薬ですが、更年期障害の治療現場でも頻繁に登場しているため、漢方薬の実際の効果や種類、服用方法などへの関心は年々高まっています。

更年期障害の治療で漢方薬が使われる理由

非常に長い歴史を持つ漢方。これまでに多くの人々を体調不良から救ってきましたが、明治時代に入ると欧米の最新医学に注目が集まり、一時期は冷遇されたことがありました。
しかし、昭和から平成の時代に入ると漢方医学すなわち漢方薬の力が見直されるようになり、現在では更年期障害の治療においても次のような理由から医療従事者、患者さんに高く評価されています。

効き方が比較的おだやか

一般的に、漢方薬は西洋薬と比べると効き方が穏やかであるため、体調の劇的な変化を好まない方には適しています。
また、西洋薬の特徴でもあるケミカルな化合物に抵抗感のある方は、漢方薬を優先的に選択することがあります。

精神的な不調や冷えなどに高い効果を発揮する

ホットフラッシュ、多汗、関節痛などの治療ではホルモン補充療法が非常に効果的ですが、精神的な不調や冷え、不眠などの症状を緩和する場合には漢方薬の方が高い効果を発揮する場合があります。
このため、症状によってはホルモン補充療法と漢方療法を併用することも。

ホルモン補充療法が受けられない場合の代替手段にも

血栓症や乳がん、心筋梗塞などの既往がある方は、ホルモン補充療法を受けられませんが、このようなときでも漢方薬が有効な代替手段になる場合があります。

更年期障害に効果的な漢方薬

では、具体的にどのような漢方薬が更年期障害に効果的なのでしょうか。
国内で承認を受けている294の漢方薬のうち、更年期障害に効果があるとされているのは次のようなものです。

三大婦人薬

更年期障害をはじめ、生理痛、月経前症候群(PMS)、貧血、冷え症など女性に多い症状全般に効果がある代表的な3つの漢方薬があり、これらをまとめて三大婦人薬と呼んでいます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)がこれにあたり、漢方の服用経験がある方なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

温清飲(ウンセイイン)

更年期障害、生理不順などのほか、皮膚疾患にも効果があり、お肌の乾燥や湿疹が気になる更年期女性に処方されることが多い漢方薬です。

温経湯(ウンケイトウ)

更年期障害、生理不順、不眠、皮膚の乾燥、冷えに効果があります。
血行促進効果も優れているため体力がなく、年中体が冷えている女性には最適です。

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)

生理痛や月経前症候群(PMS)、便秘、打撲のほか、イライラやのぼせにも効果があります。

五苓散(ゴレイサン)

水分代謝を促進させるので浮腫対策に最適であり、頭痛や口の中の乾きにも効果的です。

十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)

体全体の疲労を癒して、エネルギーを与える滋養強壮の効果がある漢方薬です。
更年期障害で心身ともに疲れ切ってしまった方にはおすすめです。

上記以外にも更年期障害に効果的なものがたくさんあるので、ご自身の体質・症状に合った漢方薬をお探しの場合は「漢方」を標榜している病院や漢方薬局に相談してみましょう。

処方薬と市販薬の違いは?

上記でご紹介したような漢方薬をインターネットで検索にかけてみると、病院で処方してもらわなくても最寄りの薬局で手に入るものがありますが、一方でその逆もあります。
つまり、漢方薬にも西洋薬と同様に「処方薬」と「一般薬」があるわけですが、この2つには次のような違いがあります。

市販薬は有効成分の含有量が少ない

処方薬に比べ、市販薬は効果の要となる有効成分(生薬)の量が少なくなっています。
有効成分が少なめになっている分、効き方も幾分おだやかなので、用法容量を守っている以上、医師の診断・処方なしで服用しても問題がないよう作られているのです。

一部の漢方薬には保険適用がある

国で承認されている294種の漢方薬のうち148種には保険医療が適用されるため、医師から病名を診断されたうえで処方された場合はお薬代の負担が軽くなります。
ただし、医師による病名の診断がなければ保険適用はないので留意しておきましょう。

漢方薬の服用方法

西洋薬のように水やぬるま湯で流し込むような飲み方を、漢方薬にはおすすめできません。
漢方薬が持つ力を最大限に発揮させるためにも、服用する際は次のことを心がけましょう。

なるべくお湯に溶かす

西洋薬のように服用しても効果はありますが、できる限りお湯に溶かして服用しましょう。ぬるま湯より少し熱い温度で、量は50mlほどで構いません。
体に自然の恵みを染み渡らせるイメージを頭の中で描きながら、ゆっくりいただいてください。

服用のタイミングは空腹時がベスト

漢方薬は食前や食間(食事と食事の間の時間)に服用することをすすめているものが多く、基本的には空腹時がベストタイミングとされています。
これは食べ物や他の薬剤に影響されず、漢方薬本来の力を十分に発揮させるためです。

いつまで飲み続ければいい? 漢方薬の服用期間

患者さんからは「いつまで飲み続ければいいのか?」とのご質問を多くいただきます。
漢方薬は一定期間服用し続けることが前提となっているお薬なので、大体数ヶ月から半年を想定しておきましょう。症状の改善がみられた時点で医師が服用を継続するかどうかを判断します。
また、依存性を心配される方もいらっしゃいますが、漢方薬は西洋薬と比べて依存性はほとんどないのでご安心を。

漢方薬にまつわる注意点

これから漢方薬の処方を受ける方、または市販の漢方薬を試そうと考えている方は次の点に注意しましょう。

一般薬では期待していた効果が出ないことも

漢方薬は本来、患者さんの体質を東洋医学独自の考え方に則って診断し、体質との相性を考慮して処方されるお薬です。
そのため、患者さん個人の自己判断で一般薬を購入・服用した場合は漢方薬と体質との相性が合わず、想像していたような効果が出ない場合があります。

漢方薬にも副作用がある

西洋薬と同様に、漢方薬にも副作用があります。
副作用の症状は蕁麻疹や胃痛、吐き気、腹痛、下痢、呼吸困難などさまざまですが、状況によっては重篤化する場合もあるため、服用後に体調の悪化に気づいたときは早急に医療機関を受診しましょう。

漢方療法は結果を急がないことが大切

漢方は体全体の調子を上げ、強い体を作ってくことを重要視します。
西洋医学のような対症療法ではないため、人によっては漢方療法がもどかしく感じることもあるでしょう。しかし、「長年がんばってきた体を労る」という、ゆったりとした気持ちで取り組んだ方が効果も出やすくなる場合があるのです。
そしてなにより、ご自身と相性の良い漢方薬と出会えたときは素晴らしい効果が期待できるので、まずは焦る心を鎮めつつ漢方治療に取り組んでください。

当院でも、更年期障害の漢方治療に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。