汗が止まらない?! 更年期に起こりやすい多汗の症状の原因と対処法
猛暑の時期や、運動後に汗をかくのは自然ですが、更年期障害の症状のひとつに「何もしていないのに大量に汗をかくようになる」というものがあります。
のぼせや、ほてりが起こる「ホットフラッシュ」という症状もありますが、それとは別に汗が大量に出るのが特徴で、今まで汗かき体質ではなかったのに汗が出て止まらなくなってしまう症状です。
その中でも、特に寝ているときに汗をかく「寝汗」に悩まされている方が多く、汗だくで目覚めるということもあるようです。
更年期障害と多汗の原因
更年期障害の原因は、女性ホルモンの一種「エストロゲン」の分泌量が低下するためと言われていますが、エストロゲンの分泌量が低下すると自律神経も乱れます。
自律神経には汗腺を調節する機能があるため、その汗腺のコントロールが上手くできなくなってしまうことで多汗の症状が現れます。
手や足ではなく、顔や頭、胸、背中などの上半身を中心に汗をかいてしまい、手足が冷えていても身体からは大量の汗が流れ落ちてくることもあるくらいです。
また、汗は基本的に体内に熱がこもるのを避けるために出るものですが、更年期の発汗には「精神性発汗」があります。
更年期障害の症状の中には、イライラや不安を感じやすくなることも挙げられますが、そのようにイライラや不安を感じると交感神経が優位になり、発汗しやすくなるという仕組みです。
個人差はありますが、更年期障害の症状による汗は、アンモニアなどが多く含まれるベタついた汗である傾向があり、乾きづらくニオイの原因になるのも悩みのタネです。
大量の発汗は、昼間だけではなく夜間にも起こるため、朝目覚めるとパジャマや布団が濡れていることも多く、そもそも寝汗が酷くて就寝中に何度も起きることで睡眠障害になる可能性もあります。
寝汗への対策は?
外で大量に発汗してしまうことは周囲の目が気になるのが困りますが、人には見られない「寝汗」も困りものです。
寝汗をかくことによって、不快で何度も目を覚ましてしまう可能性があり、これがストレスとなって睡眠障害につながってしまう恐れも出てきます。
できれば就寝前にリラックスする習慣をつけてみて下さい。
例えば、ゆったりした心地になるような音楽を聴いたり、アロマオイルを炊いたりしてみると、副交感神経が優位になり、リラックスできるのでオススメです。
寝る前に適度な運動(ストレッチ程度)をして身体をほぐすのも良いでしょう。
更年期障害の原因であるエストロゲンの減少にアプローチするために、働きが似たイソフラボンを食事やサプリメントから摂取する方法もあります。
それでも寝汗が出てしまう場合は、直接の対策として吸収性の良いタオルや布団を使用する手もあり、この場合は寝汗をかいても洗濯が楽だというメリットもあります。
発汗は精神的なものから影響を受けやすく、焦ったり緊張したりしていても症状が出るため、ストレスを溜め込まずリラックスする時間が必要です。
質の良い睡眠をとることは健康のために必要不可欠で、疲れを回復するのはもちろん、肩こりや腰痛なども睡眠によって改善します。
気持ちよく眠るためにできることから取り入れてみてください。
漢方で見る体質別の汗
汗が止まらない不調には、実は体質を漢方の視点から見ることもできます。
気になったら、病院や薬局で相談してみても良いかもしれません。
「陰虚(いんきょ)」タイプ
体の水分が不足している状態で、肌が乾燥したり、眠れなくなったりします。
その他、ほてりが生じ、寝汗が気になることが多いので、水分を整える方向に持っていくことが必要です。
「肝火」タイプ
イライラしたり、頭に血が上ったりすると、漢方で言う「肝火」という状態になってしまいます。
冷静な状態に持っていき、落ち着かせることが大事です。
「気滞」タイプ
のぼせや汗だけでなく、不安やイライラの症状が出て、乳房やお腹が張った感じがする方もいます。
体に溜まった余分な気を発散させる必要があります。
多汗は別の病気の可能性もある?
多汗の症状が更年期障害ではなく、実は他の病気の可能性(例えば、甲状腺機能亢進症では大量の汗をかきます)もあり得ます。
あまりにも汗の量が多いと感じる場合や、それによる睡眠障害に悩まされている場合は、婦人科を受診して相談してみることをオススメします。
当院でも、更年期障害や更年期の生活習慣に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。