更年期障害の検査と治療方法は? 症状を和らげるポイント

2023.11.16

更年期障害には様々な症状があり、日常生活に支障が出ることも少なくありません。
しかし、検査を受けて適切な治療や対応をすることによって、症状を軽減できる場合があります。

更年期障害の主な自覚症状

更年期障害は女性ホルモンの変動が原因であることが多く、中でも以下のような症状がよく見られます。

倦怠感

体全体がだるく、一日を通して疲れを感じることが増え、起床後も疲れが残っており日中に強い眠気が出る場合もあります。

イライラ

感情の起伏が激しくなり、些細なことで怒ったり、ストレスへの対処が以前より難しく感じたりすることがあります。

不安感

将来のことや健康面について過度に心配するようになり、憂鬱な気分や不安定な気持ちが続く場合があります。

頭痛

頭痛の頻度や強度が増し、特に月経前後や生活のリズムが乱れた時に強くなり、長時間続くケースもあります。

めまい

突然の立ちくらみや、ふらつきがあり、起立性低血圧などの原因となることがあります。

睡眠障害

入眠困難や中途覚醒、浅い眠りが続き、十分な休息を取っても疲れが残る場合があります。

体温調節の異常・異常に汗をかく

突然のぼせや寒気を感じることが増えたり、顔面や上半身に汗をたくさんかくようになり、それが日中や就寝時に影響を及ぼす場合があります。

この他にも様々な症状がありますが、身体の不調が続いたり、強く感じたりする場合は専門医に相談しましょう。

更年期障害の検査について

更年期障害の診断は、主に患者の症状や生活背景をもとに行われます。症状は他の疾患や状態と重なる部分もあるため、いくつかの検査が推奨されます。
以下は、更年期障害を確認するための主な検査方法です。

問診

患者の現在の症状、既往歴、家族歴、生活習慣などについて詳しく聞き取り、症状の背景や原因を探る基本的な手段です。
特に月経の変化やその他の身体的、心理的な症状の変動を詳しく聞きます。

血液検査

ホルモンの変動、特に女性ホルモンの中でエストロゲンや卵胞刺激ホルモン、プロゲステロンの量を測定することで、卵巣の機能や更年期の進行度を確認します。
また、必要に応じて甲状腺ホルモンや貧血の検査が行われることもあります。

内診

婦人科で行われる検査の一つで、内診台に座り、子宮や卵巣の状態を確認します。
更年期障害と関連する疾患や、他の婦人科系の疾患の有無を調べられます。

超音波検査

子宮や卵巣の大きさ、形、位置などを詳しく観察するための検査です。腫瘍や卵巣嚢胞、子宮筋腫などの疾患を発見するために行われることが多く、更年期に関連する子宮や卵巣の変化や異常も検出できます。

心理検査

症状の原因が心理的な影響であることが考えられる場合は心理検査を行い、患者の心の状態を詳しく調べます。
検査結果は、治療の方針や必要なサポートを決定するために役立ちます。

骨密度測定

更年期に入ると骨密度が下がり、骨折をしやすくなる「骨粗しょう症」を発症する確率が高まります。
骨密度測定は骨の健康状態を確認する目的で行われ、骨折のリスクを予測します。

更年期障害の治療法について

更年期障害の治療は、女性ホルモンのバランスを整えることを目的としたものが中心となり、個々の症状や生活環境、健康状態に合わせた治療法が選ばれます。

ホルモン補充療法 (HRT)

ホルモン補充療法は、女性ホルモンの低下を補うためにエストロゲンやプロゲステロンを含む薬剤を使用する治療方法です。
卵巣の機能低下によるエストロゲン減少を補うための「エストロゲン補充」は、症状の緩和だけでなく、骨粗しょう症の予防にも役立ちます。
ただし、人によっては副作用が出ることため「プロゲステロン補充」を併用する場合があります。

漢方薬

漢方薬は、自然の生薬を主成分とした伝統的な治療法で、体質や症状に合わせて処方されます。
特に体の冷えや気分の不安定、消化不良など症状の緩和に効果的です。
血の巡りを良くし、冷え性や頭痛、めまいの改善が期待できる「当帰芍薬散」や、体の熱を冷まし、のぼせやイライラを緩和する「加味逍遙散」が主に使用されます。

カウンセリング

更年期障害は身体的な症状だけでなく、心の不調も引き起こすことが多いため、心理療法やカウンセリングも有効です。
専門家との対話を通じて自身の状態を理解し、ストレスや悩みを解消する方法を知ることで、心理的な症状や生活の質の低下に対処できます。

生活習慣の見直し

食生活や運動習慣、睡眠の質を見直すことで、症状が緩和する場合もあります。
定期的な運動やバランスの取れた食事、十分な睡眠は全般的な健康状態の向上に繋がり、歩行やストレッチ、ヨガなど、体に負担の少ない運動を継続することで、症状の緩和や予防に効果的です。
食生活では、女性ホルモンとよく似た働きをするイソフラボンを多く含む食品や、カルシウム、ビタミンDなど、更年期の健康をサポートする栄養素を摂取することが重要です。

婦人科系の病気の可能性も

更年期障害と同じような症状が現れる婦人科系の疾患も存在し、更年期障害だと思って見過ごしてしまうと、重篤化する危険があります。
以下、更年期障害の症状と類似する婦人科系の主な疾患です。

子宮筋腫

子宮に良性の腫瘍が形成される疾患で、月経不順や下腹部の痛み、貧血などの症状が現れることがあります。

卵巣嚢腫

卵巣に液体を含んだ袋状の腫瘍が形成され、それが月経不順や腹痛などの症状が出ることがあります。

子宮内膜症

子宮の内膜が子宮外に成長してしまう疾患で、激しい生理痛や不正出血、不妊の原因となることがあります。

子宮頸がん

子宮の入り口部分、頸部に発生するがんで、初期段階では症状がほとんどないものの、進行すると出血や痛みが出てきます。

また、婦人科の疾患ではありませんが、甲状腺疾患も全身の疲れや体重の変動、心拍数の増加などの症状を引き起こします。
これらの疾患を早期発見するためにも、定期的な婦人科検診を行うことをおすすめします。

適切な治療と対策で更年期を快適に過ごそう

更年期障害の症状は医師や専門家の手を借り、適切なケアと理解を持って対応すれば、症状を緩和することが可能です。
自身に合ったケアや治療を受け、心身ともに少しでも快適な日々を過ごしましょう。

当院でも、更年期の不調や更年期障害の治療に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。