当院でも、更年期障害や更年期の生活習慣に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
更年期世代が気を付けたいお酒との付き合い方
更年期世代は精神的・経済的にも余裕が出てくる時期であり、「夕食時や休日にお酒をいただくのが楽しみ」という方も多いでしょう。
しかし同時に、更年期は体質が大きく変わるため、今までと同じ飲酒量・飲み方では健康を維持するのが難しくなる時期でもあります。
特に女性ホルモンの減少による影響を大きく受ける女性は、飲酒による健康リスクに注意が必要です。
更年期世代になるとお酒が弱くなる?
「私はお酒に強い」と豪語している方は男女問わずいらっしゃいますが、そんな「酒豪」も年齢には勝てないのが現実です。
実際、「以前ほど飲めなくなった」「めっきり弱くなってしまった」と感じる方は多く、特に更年期世代(40代後半~50代)の女性ではその傾向が顕著になります。
もともと女性は肝臓の大きい男性と比べてアルコールの許容量が少ない傾向にありますが、更年期障害によって女性ホルモンが少なくなるとアルコールの許容量はさらに減ることになります。
女性ホルモンとお酒は一見関係がないようにみえますが、女性ホルモンはアルコールの分解を促す働きをするため、実はお酒と深い関連があるのです。
更年期世代が気を付けたいアルコール摂取のリスク
更年期世代の女性は上記をふまえた上で、飲酒の頻度・量について改めて見直す必要があるでしょう。
しかし、それにもかかわらず頭痛や不眠、うつ状態、疲労など更年期障害による体調不良をお酒で和らげようと飲酒量が増えた事例も報告されており、その場合には次のような健康リスクが上昇します。
太りやすくなる
糖質の高いお酒は肥満を招きます。更年期は代謝が落ちて消費カロリーが減る時期でもあるため、更年期世代は飲酒とこれに伴う食事の食べ過ぎによる肥満のリスクが高くなります。
骨粗鬆症を誘発しやすくなる
女性ホルモンの減少による影響の一つに骨密度の低下がありますが、過度な飲酒も骨粗鬆症を誘発する原因になります。そのため、更年期の大量飲酒は骨に大きな悪影響を与えてしまいます。
アルコール依存症のリスクも
ストレスを感じたときや眠れない日が続いたときにお酒を飲む方がいらっしゃいますが、そのような機会が連続するとアルコール依存症に陥るリスクも出てきます。
アルコール依存症はお酒を飲む方であれば誰でもなりうる病であると認識すべきでしょう。
更年期世代の飲酒はこんな点に注意しよう
更年期は閉経の前後5年、トータルで約10年間続きます。
多くの場合はこの間にアルコールの許容は減り、以前ほどの量は飲めなくなりますが、だからこそ飲酒習慣の見直しをするチャンスといえるのではないでしょうか。
更年期障害らしき症状が現れ始めた、または更年期障害の真っ只中の方も、更年期の飲酒では次の点に注意しながら生活習慣の改善に努めましょう。
昔と同じ量を飲み続けない
10年、20年前と同じ量の飲酒を続けていては体に良くありません。
普段からお酒を飲む方は更年期を境に徐々に飲酒量を減らしていきましょう。
女性の適量は1日にワイン1杯(120ml)程度です。減らし始めは物足りなく感じますが、いずれは慣れます。
糖質の高いお酒はなるべく控える
日本酒や紹興酒など糖質の高いお酒は肥満を招きやすいので、更年期世代の方はなるべく控えるか、少量にとどめておきましょう。
代謝が落ちて太りやすくなっている更年期世代にとって、飲食の内容・質を見直すことは課題の一つです。
適度に運動する
お酒を楽しみたい方は運動を生活習慣に積極的に取り入れましょう。
運動はお酒やおつまみで摂取した分のカロリーを消費しますし、運動でストレスを発散することで飲酒量を抑える効果も期待できるでしょう。
明るいうちから飲酒しない
明るい時間からの飲酒はアルコール依存症になるリスクを上昇させます。
更年期障害で心身がつらい場合でも、朝や昼の時間帯からお酒を飲まないようにしましょう。
更年期障害はホルモン補充療法や漢方治療などでかなり緩和ができるので、我慢せず、病院で医師の診察を受けてください。
休肝日をつくる
臓器にも休息が必要です。肝臓を酷使させないよう、週に数回は飲酒しない「休肝日」を設けましょう。
おつまみはタンパク質を中心に
タンパク質は私たちの体を作り上げる必要不可欠な栄養素です。
お酒を飲む際は豆腐料理、脂肪の少ない焼鳥、さっぱりしたシーフード料理などのタンパク質中心のおつまみがおすすめです。
反対に、揚げ物や糖質の高い料理は控えるか、少なめにしておきましょう。
「更年期の後」を見据えた生活習慣の見直しが大切
更年期は加齢によって体質に大きな変化が訪れる時期です。
これに伴って体調にも波が出るようになりますが、現在の体の状態を把握した上で生活習慣を改善すれば、以前より健康になることも決して無理な話ではありません。
更年期世代の方はぜひ、「更年期の後」を見据えた上で飲酒をはじめとする生活習慣を見直してみましょう。