更年期の肌の乾燥・かゆみの予防対策について
閉経を迎える前後の5年間、トータル10年間で一般的に45歳から55歳くらいまでの時期を指す更年期。
この時期は、女性ホルモン(エストロゲン)が減少する影響で心身にさまざまな変化が起こり、肌の乾燥やかゆみに悩む方も多くいらっしゃいます。
更年期は女性なら誰もが体験する期間ですので、正しい知識を持ち肌の適切なケアを行ってストレスがたまりやすい時期を上手に乗り切りましょう。
更年期に起こりやすい肌の乾燥・かゆみの原因は?
更年期に起こりやすい肌のトラブルは、女性らしいからだ作りを助ける役割がある女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで、ハリや弾力を保つコラーゲンなどが減って皮膚の水分保持機能も低下し、その結果乾燥やかゆみを引き起こします。
肌が乾燥すると、外部のさまざまな刺激から皮膚を守るバリア機能が弱まり、かゆみや肌荒れなどの症状が起こる原因となるのです。
女性ホルモン(エストロゲン)の減少が関係しているこの症状は「ドライシンドローム」(乾燥症候群)とも呼ばれ、肌の乾燥のほかには口内や目、腟の主に4つの症状に分けられています。
また、加齢によって皮脂や汗の分泌量も急激に低下することから、より肌が乾燥しやすくなり、化粧品や衣類、ホコリといった身の回りのちょっとした刺激でかゆみや湿疹が起きやすくなってしまいます。
症状がひどい場合は、夜眠れないほどかゆみが強くて掻きむしってしまったり、睡眠不足で肌の状態がさらに悪くなってしまったりといった悪循環に陥ることも。
更年期の肌トラブルを予防するポイント
ここでは、更年期の乾燥やかゆみなどの肌トラブルの予防対策を挙げていきます。
肌の改善のためだけでなく、更年期のストレス解消・症状緩和にも効果的ですので是非取り入れてみてくださいね。
お風呂はぬるめのお湯で入浴後もスキンケアを
お風呂は40度以上の熱いお湯での入浴は避け、ぬるめに設定しましょう。
温度が高いと皮脂が奪われ肌の乾燥を招く原因となります。また、長時間お風呂に浸かるのは避けて10分程度にとどめてください。
毎回ボディソープを使ってしっかり洗うのも皮脂が奪われる原因になりますので、ぬるま湯だけを使って体を洗い流す日を設けるとよいでしょう。
お風呂から出たあとは、バスタオルで体を拭きすぎると皮膚を傷めてしまいますので優しく水気を拭き取りましょう。
そしてすぐに保湿クリームやジェル、ベビーパウダーなどを塗って保湿をしっかり行います。
こうした入浴後のスキンケアは肌トラブルの予防対策にとても重要であり、特に乾燥する季節は加湿器を使用して、湿度が一定に保たれた部屋でなるべく過ごすよう心がけましょう。
質の高い睡眠時間を確保する
睡眠時間はしっかり確保し、質を高めるのも重要な肌トラブル対策の一つです。
睡眠は肌の新陳代謝を促す成長ホルモンの分泌に影響するので、なるべくたっぷりと眠るようにしましょう。逆に寝不足の日々が続くとさらなる肌の乾燥やかゆみを招くことにも繋がります。
また、睡眠の質を高めるには眠る前にアルコールやカフェイン、脂っこい食事は避けて、スマホなどから発生するブルーライトを目に入れないようにしましょう。
皮膚のかゆみが強くて眠れない場合は、まずは皮膚科でかゆみ止めを処方してもらうのも得策です。
紫外線対策は日頃からしっかりと行う
紫外線も肌の老化や乾燥を招く原因となります。例えば洗濯物を取り込むときや近所のスーパー・コンビニへ行くときなど、日常のちょっとした外出時でも対策を怠らないようにしましょう。
曇りの日であっても紫外線は降り注いでいるので、日焼け止めや帽子、UVカットの衣類などを活用して肌を守りましょう。
食事習慣を見直して肌に効果的な栄養を
更年期を乗り切り、肌の乾燥を防ぐには食事習慣を見直し、体の中から整えるのも大きなポイントです。
特にコラーゲン、ビタミンAやビタミンCなどは保湿にも効果的ですので、積極的に摂って肌を守りましょう。
コラーゲンは鶏肉や魚の皮、ゼリーやプリン、ビタミンAはレバーやうなぎ、にんじんやほうれん草、ビタミンCは青菜やブロッコリー、キウイやオレンジなどに多く含まれています。
逆にアルコールや脂っこいもの、スナック菓子やインスタント食品などは控えましょう。
更年期には大豆製品がオススメ?
納豆や豆乳などの大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」は、腸内で「エクオール」という女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをする成分に変換されるため、積極的に取り入れるようにしましょう。
ただし、これまでの食事習慣の違いによって腸内で十分な量のエクオールに変換できる体質の方は日本人の約半数といわれています。
エクオールを腸内で作れるかどうかは薬局やインターネット通販で販売されている「エクオール検査キット」で簡単に調べることができますが、手軽に摂取できるサプリメントを利用するのもオススメです。
肌の乾燥・かゆみがひどいときは医師に相談を
肌の乾燥やかゆみ、湿疹などの症状がひどくなかなか改善されない場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診するようにしましょう。
更年期による女性ホルモン(エストロゲン)減少の影響ではなく、思わぬ病気が隠れているケースもありますので、医師に相談して適切な治療を受けましょう。
当院でも、肌の乾燥をはじめとした更年期の症状に関するアドバイスや指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。