更年期世代がダイエットをするときのポイントとは?

2020.12.10

年齢を重ねると、体型の変化を気にされる方が多くなります。特に更年期世代の方の中には健康診断などで体重増加を指摘され、急いでダイエットを始める方もいらっしゃるでしょう。
しかし、20代・30代の頃に実践していたダイエット方法では痩せられなくなってきたと感じている方も多いのではないでしょうか。

更年期世代がダイエットで結果を出すには、まずは更年期における体質の変化や特徴をしっかり理解してから行うことが大切です。

更年期に太りやすくなる原因とは?

人は年齢を重ねるにつれて基礎代謝量が減っていくため、中年以降の年齢であれば多少の体重増加はあるものです。
特に、女性ホルモンが減少する更年期世代の女性は次のような理由から太りやすくなる傾向があります。

脂質の代謝が落ちる

女性ホルモンには肌や髪に潤いを与えたり、自律神経を整えたりするほか、脂質の代謝を促進させる役割も担っています。そのため、女性ホルモンが急激に減少し始める更年期世代の女性は脂肪を溜め込んで体重が増えやすくなる傾向があります。

筋肉量と筋力も落ちる

更年期では、カロリーを消費する筋肉の発達に重要な女性ホルモンが減少します。その結果、筋肉量や筋力が低下し、摂取したカロリーが消費されず蓄積して太りやすくなってしまいます。

更年期障害の影響で運動量が減る

更年期障害では、頭痛やめまい、のぼせ、ストレス、気分の落ち込み、イライラ感などの不快な諸症状が襲ってくるため自宅にこもりがちになる方が多いものです。そうなると、どうしても運動量が減るため、余った摂取カロリーが消費されず太りやすくなります。

更年期世代のダイエットを成功させるポイント

ダイエットを成功させるには体重が増えた原因を探ることが大切です。
更年期に体重が増え始めた場合は上記の通り、女性ホルモンの減少によってカロリーを消費しにくい「省エネ」体質になることが大きな原因となっている可能性があるため、次のようなカロリーコントロール方法を実践することがダイエット成功のキーポイントとなります。

食事の量・内容・食べ方を見直す

まずは食事の内容と量を見直してみましょう。今まで家族の好みに合わせて糖分や油分の多い食事をしていた場合は、メニューを少しずつ健康的なものに変えていくことが大切です。
おすすめは、主菜・副菜・主食から成るさっぱりとした和食。最近では主食を控える食事法(糖質制限)が流行していますが、ある程度は食べた方が後になってお腹が空かず、間食防止につながります。
糖質制限を取り入れる場合は、主食を朝や昼に食べるようにすると良いでしょう。

また、食事の量の見直しも大切です。量を極端に減らす必要はありませんが、普段の食事をよく観察してみると、自分の想像以上にたくさん食べていたことに気付く場合があるものです。
おかわりの回数や使用している器をチェックするだけでも構わないので、こうした簡単なところから見直していきましょう。
時間に余裕がある場合は主食や主菜の重さを量って、大体のカロリーを確認するのも良いですね。

そして食べ方もぜひ見直していただきたいポイントです。
早食いは、満腹感を得にくいため肥満の元になります。自覚している方は食事をゆっくり噛んで、味わいながらいただく習慣を身に着けましょう。
なお、食べる順番は副菜、主菜、主食がおすすめです。この順番で食べることで血糖値の急激な上昇を抑えられます。

有酸素運動

ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動はカロリー消費と脂肪燃焼に効果的です。最初は食後に軽く15分程度の散歩でも良いので、少しずつ習慣化していきましょう。
有酸素運動はストレスの発散や気分転換にも役立ちます。

筋トレ

筋トレ(筋力トレーニング)は、筋肉量や筋力が落ちていく更年期世代にぜひおすすめしたいトレーニングです。筋肉を鍛えることで基礎代謝量をアップさせられますし、足腰の強化にもなります。
特に、大きな筋肉である太ももの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や腹筋を鍛えられるスクワットがおすすめです。

サプリメントやホルモン補充が助けになることも

更年期の体重増加は女性ホルモンの減少が大きく影響しています。
そのため、更年期障害の治療で女性ホルモンを補充したり、女性ホルモンと似た働きをする成分(エクオールなど)を配合したサプリメントを取り入れたりすることがダイエットの助けとなる場合があります。
もちろん、食事や運動など生活習慣の見直しが最優先ですが、女性ホルモンを補う治療が更年期太り対策にもある程度有効である点は、覚えておいて損はないでしょう。

また、女性ホルモンを補うものではありませんが、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」や「防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)」といった漢方もダイエットサポートになることがあります。

ダイエット中は焦らず前向きになることが大切

あらゆる代謝機能が落ちていく更年期世代では、ダイエットの効果の現れ方も緩やかです。
しかし、更年期の体質を知った上でダイエットの基本である適切な食事と運動を実践していけば、増えた分の減量も不可能ではありません。
また、更年期障害の治療も有力なサポートになりますので、体型のことであまり深刻に悩まず、前向きな気持ちでダイエットに取り組みましょう。

当院でも、更年期の体重増加や脂質異常症などに関するアドバイスや指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。