更年期障害とドライアイの関係は? 予防と改善のポイント

更年期に差しかかると、女性ホルモン(エストロゲン)が減少することによって、これまでにない様々な症状に悩まされる方が少なくありません。
その一つが「ドライアイ」です。
ドライアイとは
ドライアイとは、眼球の表面を保護し、視力を確保するための涙が不足したり、その質が低下したりすることによって起こる症状の総称です。
涙は眼球を潤滑に保ち、細菌などから守る役割を果たし、また視力を確保するためにも重要です。
ドライアイの主な症状としては、目の乾燥感、痛み、かゆみ、充血、疲れ、視力の低下などがあります。
特にパソコンやスマートフォンを長時間使う現代人にとっては、大きな悩みの一つとなっています。
原因は多岐にわたり、例えば加齢や環境の変化、パソコンなどのディスプレイを長時間見続けるなどの生活習慣、目の手術、薬の副作用などがあります。
特に女性の場合は、女性ホルモン(エストロゲン)の変化が目の粘膜や涙腺にも影響を与えるため、更年期にはドライアイになりやすいといわれています。
この症状は一時的なものであればそれほど問題はありませんが、長期化すると角膜や結膜の炎症を引き起こし、視力低下の原因となることもあります。
そのため、ドライアイの症状が続く場合は注意が必要です。
更年期障害とドライアイの関連性
更年期障害の症状は人によって異なりますが、心身ともに不調を感じることが多く、女性ホルモン(エストロゲン)の減少によるものと考えられています。
エストロゲンが減少すると体内組織の機能に影響を及ぼし、涙が減ったり、蒸発が早まったりします。
その結果、目の乾燥や不快感を引き起こし、ドライアイの症状が現れるのです。
また更年期のストレスや不安感、睡眠不足などもドライアイの症状を悪化させ、自律神経が乱れて涙の分泌量を減少させることがあります。
更年期を迎えて目の渇きや不快感、視力の変化を感じたら、ドライアイの可能性を考え適切なケアを行うことが大切です。
自宅で行えるドライアイ対策
ドライアイは生活習慣の改善やケアにより、症状の軽減や予防が可能です。
ここでは自宅で行えるドライアイ対策をいくつかご紹介します。
涙の分泌を促す
目をこすらず、こまめに瞬きをすることで涙の分泌を促しましょう。
また適度な運動も涙腺の働きを活性化させるのでおすすめです。
水分の摂取
体の水分量が足りないと涙の分泌量が低下してしまいます。そのため、水分を十分に摂ることも大切です。
目薬を使う
ドライアイの症状が出ている場合、目薬を使って目を潤すのも効果的です。
特に乾燥がひどい場合はもちろん、長時間のパソコン作業前後にも使用しましょう。
スマートフォンやパソコンの使用時間を見直す
意識的にスマートフォンやパソコンの使用時間を減らす、または頻繁に休憩を取ることで、ドライアイの症状を軽減することが可能です。
乾燥しにくい環境を整える
空気が乾燥した環境はドライアイを悪化させる可能性があるため、加湿器などを使って室内の湿度を適切に保つと良いでしょう。
エクオールを摂取する
女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きを持つ「エクオール」を摂取することもおすすめです。
エクオールは大豆由来の成分で、食事やサプリメントで摂ることができます。
睡眠をしっかりとる
睡眠は体全体の修復に必要なもので、眼の健康にも重要です。
睡眠不足はドライアイの症状を悪化させる可能性があるため、十分な睡眠時間を確保しましょう。
以上のような対策を日常的に行うことで、ドライアイの症状の軽減や予防に繋がります。
病院で行われることが多いドライアイ治療法
自宅で対策を試してもドライアイの症状が続く、または悪化する場合は、医師による診断と治療が必要です。ドライアイは、目の症状ですのでまずは眼科を受診されると良いでしょう。眼科で行われるドライアイの治療としては、涙の蒸発を防ぐための点眼薬が使用されることが多いです。症状が重い場合には、涙腺の機能を改善する内服薬などが処方されることもあります。
その他、ドライアイが全身疾患の結果として現れている場合は、その疾患の治療が必要です。これらの治療はドライアイの症状や原因、体質や生活習慣などによって適用される方法が異なります。
そのため、具体的な治療法を選択する際は必ず医師の診断を仰ぎましょう。
婦人科では、更年期症状を改善する治療法として、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などがあります。ホルモン補充療法により、涙腺の機能を正常化し、目の乾燥が改善する可能性はありますが、ドライアイに直接的にHRTが効くとするエビデンスまではありません。
漢方薬も更年期障害の症状を緩和する一つの手段で、東洋医学の観点から体全体のバランスを整えます。これも、涙の分泌を正常に保つ体の自然な機能を回復させ、ドライアイの症状を緩和させることが期待できますが、明らかな直接的な効果までは証明されていません。
目が乾くと感じたら早めの対処を
更年期に目の乾きや不快感が現れたら、ドライアイの可能性を考え、適切なケアを行いましょう。
自宅での対策も積極的に行い、それでも症状が続く場合は早めに医師の診断を受けることをおすすめします。
当院でも、更年期の不調や更年期障害の治療に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。