見過ごされがちな「過少月経」とは? 症状や原因、改善方法について

2025.02.27

生理は女性の健康を知る上での大切な指標ですが、その中でも「過少月経」という状態は見過ごされがちです。
日常生活に大きな支障をきたさないため放置されることも多いですが、実はホルモンバランスの乱れや、子宮や卵巣の健康状態に深く関わっている可能性があります。

過少月経の定義と正常な生理量の目安

過少月経とは、生理の出血量が少ない状態を指します。生理中にナプキンをほとんど汚さない日が続いたり、期間がいつもより短いと感じたりする時は、過少月経の可能性があります。
経血が極端に薄い、ほとんど塊が見られなくなった、生理痛がほとんどない、生理の間隔が不規則になっているなどの変化が目安です。

健康な生理は、平均的に20~140ml程度の出血量があるといわれていますが、これには個人差があるため、まずは自分の「いつもの状態」を知ることが大切です。
いつもより経血の量が少ない場合、ホルモンバランスが乱れていたり、子宮や卵巣にトラブルが潜んでいたりする可能性があります。

過少月経の原因

生理は、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの働きによってコントロールされています。
これらのホルモンが何らかの理由で正常に分泌されなくなると、経血の量が減少する場合があるのです。

また、現代社会ではストレスが原因で過少月経を引き起こすケースも少なくありません。
睡眠不足や不規則な生活もストレスを増加させる要因で、仕事や学業で忙しい日々を過ごしていると、知らないうちに自分の体に負担をかけている可能性があります。

さらに、多嚢胞性卵巣症候群や黄体機能不全などの疾患や、甲状腺機能異常も過少月経の原因として知られており、これらは早期の診断と治療が重要です。
特に、生理量が急激に減少した場合や、普段と違う異常症状(下腹部痛、不正出血など)がある場合は、速やかに婦人科を受診しましょう。

病院での検査と診断の流れ

婦人科を受診するときは、最後の生理がいつだったか、生理周期がどのくらいの期間で訪れるか、生理中の症状(痛みや疲労感など)の有無、日常的なストレスや睡眠の質、過去の妊娠や手術歴の問診から始まります。

その後、必要に応じて内診や血液検査、超音波検査が行われます。

内診では、子宮や卵巣の状態を直接確認するため、構造的な異常や炎症がないかをチェックしますが、もしそれに抵抗がある場合は、事前にその旨を医師に伝えることで、お腹の上からの超音波検査など配慮してもらえるので安心です。
血液検査では女性ホルモンの数値を測定でき、超音波検査は子宮や卵巣の状態を詳細に把握できます。

医師に相談する際に伝えるべきポイント

医師との相談では、自分の症状を正確に伝えることが大切で、具体的な情報を共有すると、より適切な診断と治療ができます。

生理の記録を持参する

基礎体温表や生理日記を持っていくと、症状の傾向を把握しやすくなります。
生理周期の変化や経血量、体調の変化を記録していれば特に役立つでしょう。

気になる症状を具体的に伝える

「生理の量が少ない」だけでなく、「何日で終わる」「色が薄い」「生理痛はないが疲れやすい」など、具体的な情報を共有できれば、医師が原因を特定しやすくなります。

生活習慣やストレスの状況を説明する

忙しい日々や食生活、睡眠の質、精神的なストレスについても共有しましょう。
これらの情報は、ホルモンバランスや体の状態を理解する上で重要です。

過去の病歴や服用中の薬を伝える

過去の病歴や現在服用している薬についても詳しく話すことが必要で、薬の副作用や病歴との関連を確認できます。

過少月経の治療方法は?

過少月経は、原因によって治療方法が異なり、医学的な方法からライフスタイルの改善、漢方やサプリメントといった自然療法まで様々な選択肢があります。

一般的なホルモン療法

過少月経の治療において、ホルモン療法は一般的な選択肢で、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンを補充し、生理周期を整え、正常な経血量を取り戻すことを目指します。

主な効果は、子宮内膜を正常に発育させ、経血量を増やす、排卵を促して生理周期を安定させる、更年期障害やホルモンバランスの乱れによる症状を軽減させるなどです。
ただし、ホルモン療法には副作用が伴うケースもあるため、医師と慎重に相談しながら進めることが大切です。
ホルモン療法は、根本的な生活習慣の改善と組み合わせるとより良い結果が期待できます。

ライフスタイル改善で期待できる治療効果

過少月経は、ライフスタイルの乱れが原因となっているケースも多く、日常生活を見直すと症状の改善が期待できます。

まずは食生活の見直しで、鉄分、ビタミンB群、葉酸などの栄養素を積極的に摂取し、極端なダイエットを避け、バランスの良い食事を心がけましょう。
そして、冷え性対策として、温かい飲み物や食事を取り入れることも大切です。

また、適度な運動は、ホルモンバランスを整える効果があり、ウォーキングやヨガといった軽い運動を継続的に行い、体を冷やさないようにすることも重要です。
そして、過剰なストレスはホルモン分泌を乱す要因になるため、リラクゼーション法や趣味の時間を設けて心を落ち着かせ、十分な睡眠も忘れないようにしましょう。

漢方やサプリメントを活用したアプローチ

漢方やサプリメントは、比較的副作用が少なく、体質に合わせて選べる点が魅力です。

漢方は体質や症状によって処方が異なるため、漢方専門の医師や薬剤師に相談しましょう。
サプリメントを取り入れる際も、自己判断で始めるのではなく、専門家のアドバイスを受けると、安全かつ効果的に活用できます。

異変を感じたら産婦人科を受診しよう

過少月経は、生理の量が少なくなるだけではなく、女性の健康全般に影響を与える可能性がある状態です。
そのため、正しい知識を持ち、自分の体の変化に敏感になることが大切です。
少しでも気になったら、早めに産婦人科を受診し、医師と相談しながら適切な治療やケアを受けましょう!

当院でも、過少月経に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。