月経前症候群(PMS)対策におすすめのハーブと注意点
月経前症候群(perimenstrual syndrome:PMS)の症状が出始める生理前一週間前後の時期は、まるで嵐が去るのを待つかのように不安な気持ちで過ごす女性が多いものです。
しかし、最近ではPMSの緩和効果が期待できる食品や薬が登場しており、これらを活用してつらい時期を乗り越える女性も増えてきました。
ヨーロッパでは「家庭の日用薬」として位置付けられているハーブもそんな頼りがいのあるアイテムの一つですが、副作用や禁忌事項が意外に多いので使用の際は注意が必要です。
PMS対策で注目が集まるハーブの活用
PMSは生理前の女性ホルモン分泌の高まりから引き起こる不快な諸症状の総称です。
PMSの症状が現れるのはおおよそ生理前一週間前後の期間であり、症状の内容も落ち込み、むくみ、胸や腹部の張り、体重の増加、眠気、過食、食欲減退、吐き気、頭痛など多岐にわたります。
また、そのときの体力や置かれている状況・環境も症状に大きな影響を及ぼすため、毎月の症状の程度が予想しづらい点もPMSの特徴といえるでしょう。
このようなことから、最近ではPMS対策として低用量ピルや漢方薬、ハーブなどを利用し、できる限り心身の負担を減らそうと試みる女性が増えています。
特にハーブについてはPMS対策用の医薬品が発売されたこともあり、今まで以上に注目が集まっています。
欧米では医療現場でも利用されるハーブ
ハーブと聞くと料理やお部屋の香り付けに使うイメージが先行しがちですが、ヨーロッパでは紀元前から「薬草」としてさまざまな場面で活用されてきました。
現在でも欧米諸国では補完・代替医療として医療現場でも活用されており、国によってはハーブの一種であるセントジョーンズワートやエキナセアなどが医薬品とされています。
もちろん、あくまで現代医学(つまり西洋医学)を補完する位置付けではありますが、香りによるリラックス効果や穏やかな作用は多くの人に受け入れられやすいため、今後は活用場面がさらに広がる可能性があるでしょう。
PMS対策におすすめのハーブ
一方、ハーブが日本の医療現場で積極的に導入される場面はまだまだ少ないのが現状です。
しかし、ハーブティーやサプリメントなどの一般的な「ハーブ食品」を生活の中に取り入れる、という形であれば今日からでも自宅で実践できます。
たとえば、次に挙げるハーブはPMSの緩和が期待できるとされているので、興味がある方はハーブ活用の第一歩としてこのようなハーブが使われている食品から試してみるのも良いですね。
チェストベリー
チェストベリーはチェストツリーと呼ばれる木に実る果実です。
昔からPMSや生理痛、月経不順などの婦人科系症状の緩和に利用されてきた歴史があります。
スパイシーで温かみのある香りなので、ショウガやコショウが好きな方はハーブティーでいただくのがおすすめです。反対に苦手な場合はサプリメントで摂取する手もあります。
カモミール
カモミールは小さい白い花をつけるキク科の植物です。
リンゴに似た香りとマイルドな味にはファンが多く、一度は聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。のど飴に配合されるも多く、ハーブの中でも抜群の知名度を誇ります。
PMSはもちろん、炎症緩和の効果も期待できるといわれているため風邪気味のときにもおすすめです。
セントジョーンズワート
セントジョーンズワートは黄色い花をつける植物で、和名をセイヨウオトギリソウといいます。
精神的な不調に使われることが多いため、PMSの場合でも気分の落ち込みや不安といったメンタル面での効果が期待できるでしょう。
しかし、セントジョーンズワードは他の薬の効果を低減させてしまうことがあるため、飲み合わせには注意が必要です。
レモンバーム
レモンバームはシソ科の植物で、名前の通りレモンに似たさわやかな香りが人気のハーブです。
ハーブティーとしていただくとすっきりするため、PMS特有のイライラや不安感の緩和にはぴったりです。
ラズベリーリーフ
ラズベリーリーフはラズベリーの葉の部分のことをいいますが、この葉は昔から出産をサポートするハーブとして知られており、現在でも婦人科系の症状が気になる方に大変人気があります。
PMS対策でハーブを使用する際の注意点
以上のようなハーブはハーブティーやサプリメント、飴やクッキーといった食品として薬局やスーパーマーケットで容易に手に入ります。
そのため、誰でも気軽に利用できるアイテムだと誤解されがちですが、実際は次のような副作用や禁忌事項もあり、使用の際はこうしたデメリットをしっかり認識しておかなければなりません。
ハーブにも副作用があることを認識する
一部のハーブには副作用が報告されています。たとえば、セントジョーンズワートは頭痛やめまい、疲労感、不眠などの副作用が報告されています。
特に、海外で医薬品とされているハーブについては一般的な薬と同様に副作用の可能性がある点をしっかり理解しておきましょう。
服用中の薬がある場合は飲み合わせに注意する
ハーブの種類によっては服用している薬の効き目に影響を及ぼすものがあります。薬を服用中の方はハーブを取り入れる前に医師や薬剤師に飲み合わせの可否について相談しておきましょう。
PMS対策で体調が悪化することがあっては元も子もありません。
妊娠中や授乳中のハーブ使用には細心の注意を
妊娠中や授乳中の使用が禁忌となっているハーブもあるため、妊婦さんや授乳中のお母さんがハーブを使用する際は細心の注意を払いましょう。
妊娠中や授乳中はどのようなサプリメントや薬であっても医師への相談なしに安易に服用・摂取しないようにしてください。
植物アレルギーの場合はハーブの摂取を控える
植物アレルギーを持っている方はハーブの摂取を控えましょう。
キク科やセリ科などのハーブは植物アレルギーを引き起こして思わぬ体調不良を招いてしまう可能性があります。
植物アレルギーの有無が不明な方は、内科や皮膚科でアレルギー検査を受けてからハーブを使用することをおすすめします。
なお、上記のような情報は厚生労働省による「統合医療」情報発信サイト「eJIM(イージム)」で確認できます。
ハーブの歴史や確認できている効能、安全性などの情報が掲載されているので、ハーブを活用したい方はぜひチェックしてみましょう。
ハーブへの過信は禁物 症状が重い場合は医師に相談を
ハーブをはじめとする補完・代替医療や伝統医療には先人たちの知恵が詰まっており、実際その効果も一部では医療現場で認められています。
しかし、「治療する」といった点ではまだまだ科学的に解明できていないことが多く、過信は禁物です。
確かにハーブはヨーロッパの医療現場では積極的に導入されていますが、あくまで「現代医学の補助をするもの」という位置付けである点は忘れないでください。
PMSの治療・緩和においても症状の程度によっては医師による薬の処方が望ましい場合があります。
自分なりのPMS対策をしても症状の改善が見られないときは無理をせず、医学的治療を選択肢に入れましょう。
当院でも、PMSに関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。