妊娠前にやっておくべきこととは?

2021.07.01

「妊活」という言葉が頻繁に聞かれるようになり、妊娠には積極的な行動が必要との認識が今まで以上に強くなっています。
妊娠に向けて子宮や卵巣などの状態を確認する「ブライダルチェック」の登場と受診者の増加はその一例ですが、この他にも妊娠前にやっておいた方が良いことは意外にも多いものです。

初めて妊娠に臨む方は迷ってしまわないよう、パートナーや友人と一緒に一つひとつチェックしてみましょう。

健康なマタニティライフを送るためには下準備が必要

「結婚すればいずれは妊娠する」という概念が薄れつつある中、女性は自身の妊娠に対して能動的に行動できるようになりました。
妊娠前の準備もその一つ。妊娠前にやっておくべきことを済ませて、できる限り健康的でストレスの少ないマタニティライフを過ごそうと考える女性が増えています。
これには晩婚化に伴う高齢出産の増加、女性の社会進出、育児環境の変化などが大きな影響を与えていますが、どちらにせよ、すべては女性と赤ちゃん、そしてパートナーの心身の負担を軽減するための対策であることには変わりありません。

妊娠することで、女性の体と取り巻く状況は劇的に変化します。
この点を軽視すると行動が制限されてしまったり、母子に健康リスクが及んだりする可能性があるため、妊娠前の段階から赤ちゃんを迎える準備についてパートナーと話し合っておくことをおすすめしています。
ポイントは「体の状態の把握」「妊娠・出産全般に対する知識の学習」「妊娠する状況・環境の確認」の3点です。

体の状態を把握する

まずは今の体が妊娠に適した状態か確認する必要があります。
子宮と卵巣の状態については特に重要なので、早期の妊娠を希望する方は年齢にかかわらず婦人科で検査を受けましょう。

婦人科の受診

妊娠の基礎となる子宮と卵巣の状態を婦人科で検査・確認しましょう。
このときに性感染症の検査も併せて行うことをおすすめします。
最近では妊娠希望の方向けの婦人科検診セット「ブライダルチェック」を用意している医療機関も多いので、ぜひ積極的に利用してください。
この際、パートナーにも泌尿器科で男性向けブライダルチェック(不妊検査)を受けてもらった方が良いでしょう。検査で何らかの問題が見つかってもすぐに対処すれば、結果的に早期妊娠につながります。

歯科検診

妊活を始める前に歯科検診を受けて、口内を健康に保つようにしましょう。
妊娠中の歯科治療は安定期であれば問題ありませんが、妊娠初期はつわりや緊張・ストレスによる流産の可能性が高くなるため、本格的な治療ができない場合があります。
ただでさえナイーブになりがちな妊娠初期に虫歯でつらい思いをすることがないよう、妊娠前に歯科検診を受けておくことをおすすめします。

予防接種

妊娠中に風疹や麻疹、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)、水ぼうそうに感染した場合、重症化して赤ちゃんにも悪影響が及ぶことがあるため、妊娠前に予防接種を受けておきましょう。
これらの病気に対する抗体を持っていれば必要ありませんが、抗体検査で不十分となった場合は予防接種をおすすめします(特に風疹)。なお、予防接種後2ヵ月間は避妊が必要です。

生活習慣の見直しと体重のチェック

妊娠前から現在の生活習慣を見直しておきましょう。
特に日常的に飲酒や喫煙習慣がある場合は早急な改善が必要です。
また、体重がBMI(肥満度を表す体格指数)に照らし合わせて25を超える場合は、それ以上増えないように食事・運動習慣を見直しましょう。肥満は排卵障害を引き起こす原因になります。

流産経験が2、3回ある場合は不育症の検査を

以前にも妊娠経験があるものの、2回~3回連続で流産されてしまった方は次の妊娠前に不育症の検査を受けておくことをおすすめします。
流産の原因が判明すれば、次回の妊娠で無事赤ちゃんを出産できる可能性がぐんと高まります。

妊娠・出産全般に対する知識を学習する

体の状態の把握と同時に、妊娠・出産全般に対する知識を学習しておきましょう。
妊娠の仕組みはもちろん、妊娠中に必要な栄養素や最適な食材、運動習慣、禁忌事項、出産に伴う助成金や補助金、行政による育児支援制度など、学ぶことはたくさんあります。
これらの情報について書かれている書籍は山のようにありますので、わかりやすいものを選んでじっくり読んでみましょう。
医師や看護師、助産師などの専門家による解説動画も非常に役立ちます。

妊娠する状況・環境の確認

近い将来、生活拠点を海外に移す予定があるかどうか今一度確認しておきましょう。ご自身やパートナーの仕事の都合で海外渡航する可能性が高い場合は、現地の医療制度についてある程度予習しておく必要が出てきます。
また、日本国内であっても、引越し先住所周辺の産婦人科病院の有無確認は欠かせません。自宅から病院までの距離によっては車での送り迎えが必要になる可能性があるからです。

授からないときのことも念頭に

何かとやるべきことが多い妊活期ですが、「これも生まれてくる赤ちゃんのため」と思うと活力が湧いてくるのではないでしょうか。
しかし、懸命な妊活にもかかわらず、なかなか授からない場合もあるのが現実です。
妊娠可能年齢までの時間を有効に活用するためにも、気持ちに余裕があれば、授からなかった場合の心構え、不妊治療を受ける意志やその期間などについてパートナーと話し合っておくことをおすすめします。

「やっておけばよかった」とならないよう下準備を

「妊娠前に〇〇をやっておけばよかった」という声は想像以上に多いものです。
なかには赤ちゃんの健康状態にかかわることで後悔している方もいらっしゃるので、やはり妊娠前の体作りや知識の習得は非常に重要なのです。
これから妊活に臨む方は将来の我が子のためにも、できる限りしっかり下準備するよう心がけましょう。

当院でも、妊娠前の各種検査に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。