急激な体重増加は要注意? 妊娠中の食事のポイント

2020.09.22

妊娠中は、赤ちゃんの成長を促すために非妊娠時より脂肪や血液量が増え、その結果体重も増えます。
臨月に向けて、少しずつ体重が増えていくことは赤ちゃんが順調に育っている証拠ですが、あるときを境に急激に増えたり、妊婦検診の際に過度な体重増加を指摘された場合には体重の管理が必要になります。

ここでは、妊娠中に適正体重を維持するための食事のとり方や注意点について解説します。

つわり(悪阻)終了後の体重増加には特に注意

妊娠中は妊娠を維持し、赤ちゃんの成長を促すためのホルモンが分泌されるため体重が増えやすくなります。妊娠初期には6週目頃から始まるつわり(悪阻)の影響で食欲がわかず、逆に体重が減ってしまう場合もありますが、妊娠中期(5カ月)に入るとつわりも終わり、食欲旺盛になってつい食べすぎてしまうという妊婦さんもいらっしゃいます。

赤ちゃんのために十分な栄養をとることは大切ですが、妊娠中の急激な体重の増加は赤ちゃんにも母体にも様々なリスクを及ぼす可能性があるため、食事のとり方には注意が必要です。

体重の増えすぎは様々なリスクの原因に

妊娠中の適正な体重増加は妊婦さんの元々の体型にもよりますが、一般的に妊娠初期から中期に入るまでで2kg~3kg、中期以降は月1kg程度ずつ増えていき、出産までのトータルで7kg~12kgほどにとどめておくのが理想とされています。

妊娠中のある程度の体重増加は仕方がないことですが、急激な増加や適正体重を大幅に超える増加がみられる場合は次のような健康リスクにさらされる恐れがあります。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病になると、糖の代謝異常が起きることで血糖値が上がりやすくなり、赤ちゃんの成長(大きくなりすぎたり、逆に体重の増加が悪いこともあります)、大きくなりすぎることでの難産、早産ならびに産後の赤ちゃんの低血糖症などが起きやすくなります。
このように、赤ちゃんにも母体にも影響を及ぼすため、妊娠糖尿病と診断された場合は何らかの対策を講じなければなりませんが、まずは血糖値が急上昇しないように予防が必要になります。

妊娠高血圧症候群

妊娠中の急激な体重増加は妊娠高血圧症候群を誘発し、結果として赤ちゃんが発育不全や低体重になる恐れがあります。また、高血圧は血管に負担をかけるため、妊娠中にお母さんが脳内出血や血栓症、子癇(失神や痙攣)など重篤な状態になってしまう可能性もあります。

このように、妊娠中の過度または急激な体重増加は赤ちゃんだけではなく、お母さんにも悪影響を及ぼしてしまうことがありますので注意しましょう。

妊娠中の食事のとり方のポイント

妊娠中は、体重増加をいかにコントロールするかが妊婦さんの課題の一つとなるわけですが、赤ちゃんの成長のためにも食事はしっかりとらなければなりません。
極端な食事制限などせずに、赤ちゃんと母体に適度な栄養を補給するためにも、妊娠中の方は次のようなポイントを心がけて実践してみましょう。

「腹八分目」を心がける

妊娠中は、赤ちゃんに栄養を届けるためにもしっかり食べなければなりません。しかし、お腹が張るほど食べ過ぎる必要はないのです。昔は様々な理由で「妊婦さんはたくさん食べなければ」ということが盛んに言われてきましたが、現在は栄養価の高い食材が簡単に手に入るため、体重が増え始める妊娠中期以降の方は「腹八分目」で食事を終えるようにしてみましょう。

1日3回栄養バランスの良い食事を

栄養バランスの良い食事をしっかりと1日3回、朝・昼・夜に食べることを心がけましょう。
食事の内容は主食、主菜、副菜で構成するのが理想です。また、体重が気になるからといって、無理にご飯やパンなどの主食を抜きにするようなことはやめましょう。ただし、担当医師や栄養士から食事内容について指導があった場合はこの限りではありません。
さらに、食事をする時間もある程度決めておき、規則正しい食生活を心がけてください。特に夜遅い時間の食事は体重増加の原因になるため、早めに済ませるようにしましょう。

塩分の摂りすぎに注意

塩分の摂りすぎは、妊娠高血圧症候群の原因となることがあります。妊娠中は、比較的低カロリーで栄養バランスの良い食事ができる和食が推奨されていますが、和食も使用する食材や作り方によっては塩分過多になってしまうことがあるので注意してください。

よく噛んで食べましょう

よく噛んでご飯を食べることによって、脳に満腹のサインが送られやすくなります。食欲旺盛になっているときはつい急いで食べてしまいがちですが、早食いは食欲が満たされにくくなる上、血糖値が急上昇する原因になります。
食事は落ち着いた環境の中で、食材の味をゆっくり噛んで味わいながらいただくようにしましょう。

日頃から健康的な食事を心がけよう

妊娠中は急激な体型の変化に戸惑いつつ、しっかり食事と体重管理をしなければならないため、ストレスが溜まりがちです。しかし、日頃から健康的な食習慣を身につけていけばストレスも軽減され、体調も整えやすくなります。
出産の日に母子ともに健康な状態で赤ちゃんに会えるよう、食事に気を付けて体重管理をがんばっていきましょう。

当院でも、妊娠中の体重増加に関するアドバイスや指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。