更年期の予防・症状緩和には「大豆」が有効?

2020.09.22

「更年期」とは、女性の閉経前後の5年間を合わせた約10年間を指します。
更年期になると卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少し、その結果ホルモンバランスの崩れ、身体的・精神的な不調があらわれます。
症状には個人差がありますが、仕事や私生活に支障をきたしてしまうような不定愁訴を訴える人も少なくありません。

そんな更年期の健康トラブルの予防・症状緩和に、「大豆」が効果的だということが近年の研究から明らかになってきました。
更年期における女性ホルモン(エストロゲン)の減少は避けられませんが、大豆から女性ホルモンを補う働きをする成分を摂取できるため、ぜひ積極的に取り入れたいですね。

大豆は更年期の味方? 大豆イソフラボンとは

日本人にとって昔から馴染みがある食材である大豆や、豆腐や味噌、豆乳などの大豆食品には、「大豆イソフラボン」という成分が含まれています。

大豆イソフラボンは「植物エストロゲン」とも呼ばれ、女性ホルモン(エストロゲン)とよく似た構造の物質です。
体内で女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをするとして、女性の健康や美容によい成分として注目されています。

特に、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することによって起こる、更年期のトラブルは、大豆イソフラボンを摂取することで女性ホルモンの不足を補うことができ、症状の緩和や予防に繋がるとされています。

大豆イソフラボンとエクオール産生菌

更年期の症状の緩和や予防に、よい影響を与える大豆イソフラボンですが、効果には個人差があります。

効果を得られやすい人と得られにくい人の違いは、大豆イソフラボンを体内で「エクオール」という成分に変換できるかどうかが関係しています。

エクオールとは大豆イソブラボンから作られる代謝物で、大豆イソブラボン同様に、女性ホルモン(エストロゲン)とよく似た構造の物質です。
最近では大豆イソブラボン以上に、更年期のトラブルをサポートする物質として注目されている成分になります。

通常、「エクオール産生菌」という腸内細菌が、大豆イソフラボンをエクオールに作り変える働きをしています。
この細菌が腸内にいるかどうか、また活発に活動しているかどうかで「エクオール」の生産に差があり、効果にも個人差が生まれます。

エクオールを作れる人は日本人女性の50%?!

腸内細菌であるエクオールは、全ての人が作れるわけではありません。
エクオールを作れる人の割合は地域や年代によって差があり、エクオールを腸内で作れる日本人女性は「2人に1人」といわれています。
この差は食生活の違いによるものと推測されています。

エクオールを作れる人の多くが、日頃から大豆、豆腐や味噌、豆乳などの大豆食品をよく食べていることがわかっています。
エクオール産生菌にとっても、大豆や大豆食品を日常的に摂取することはとても重要であるといえそうです。

大豆イソフラボンには美肌効果なども!

大豆イソフラボンには、肌の調子を整える美肌効果もあることが知られています。

女性ホルモン(エストロゲン)は「美肌ホルモン」とも呼ばれ、肌の調子を整えて、肌の弾力を保つコラーゲンを増やしたり、保湿力をアップさせたりする働きがあります。
しかし、加齢とともに女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少すると、肌の潤いやハリも低下してしまいます。

そこで大豆イソフラボンを摂取することで、減少した女性ホルモン(エストロゲン)の働きを補い、肌の調子を整える効果が期待できるのです。

また、大豆イソフラボンには悪玉コレステロールを減らす働きや、PMS(月経前症候群)や生理不順、骨粗鬆症やメタボリックシンドロームの予防・緩和効果もあるといわれています。
そのため、更年期に関わらず日常的に大豆を摂取し続ける事が、より健康によいとされています。

食事に大豆食品を取り入れて更年期を予防しよう

日本の女性は欧米の女性に比べて、更年期の症状は軽いといわれています。
これは、日本人が日常的に大豆食品を多く食べている傾向があるためという説があります。

近年では食の多様化により、大豆を日常的に摂取しないという人も増えてきていますが、毎日の食事に大豆食品を一品プラスするだけでも、更年期の症状緩和や予防、美肌効果が期待できますので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。