更年期障害としての頭痛の原因は? 症状や対処法について

2022.12.09

一般的に45~55歳の女性に起こる更年期障害は、女性ホルモンの分泌が減少するため心身にさまざまな不調をきたします。
更年期障害による不調は多岐にわたりますが、頭痛もその一つです。

更年期障害としての頭痛は、適切な治療と継続的なケアで十分に緩和することができます。
症状が悪化すると生活に支障をきたす危険性が高いので、しっかり予防して対策しましょう。

更年期に起こりやすい頭痛の種類

実は、「更年期障害による頭痛」というものは原則的にはなく、そのほとんどは、片頭痛か緊張型頭痛となります。

片頭痛は、「頭の片側がズキズキ痛む」「光や音に敏感になる」「歩いたり階段を上ったりすると悪化する」「吐き気がする」「日光や騒音で痛みが悪化する」などの症状が特徴的です。早ければ10代から、多くは20~30歳代に発症し、更年期に至ります。
緊張型頭痛は「頭の両側または頭全体が痛む」「圧迫感や締め付けられるような痛み」の症状で、歩行などでは頭痛が悪化せず、吐き気がないのが特徴です。
こちらは、若い世代には少なく、40歳以降に増えてきます。
自律神経がうまく働かず血液循環が悪くなり、頭の血管が拡張・収縮して頭痛を引き起こしている可能性があるため、頭痛のほか、肩こり、腰痛、めまい、倦怠感などが同時に起こることもあります。

片頭痛・緊張型頭痛の原因は?

片頭痛の原因

片頭痛は女性に多く、女性ホルモンのエストロゲンの減少、特定の食べ物やアルコール・カフェインの摂取、睡眠不足などが明らかな要因として考えられています。

また、月経に関連した片頭痛は、月経や黄体期にエストロゲンが減少することで起こり得ます。
エストロゲンの変動が大きい閉経前に一過性に悪化し、エストロゲンの変動がなくなる閉経後に軽減することが多いです。

月経に伴う片頭痛を経験したことがある方は、閉経前の片頭痛が悪化するリスクが高いといわれていて、うつ病や不安症などの精神症状との関連も報告されています。

緊張型頭痛の原因

緊張型頭痛は、常に姿勢に力が入り目や肩が疲れるなどの身体的ストレスや、心配事や不安などの精神的ストレスにより、頭部の筋肉が過度に緊張することで起こります。
閉経後も症状が変わらない、又は悪化する女性も多く、肥満、運動不足、喫煙などが危険因子ともされています。

頭痛の対処法

片頭痛と緊張型頭痛では対処法や治療法が異なります。

片頭痛の対処法としては、光や音の静かな場所で休むこと、温めるより冷やすことが大切です。
片頭痛は、血管の拡張によって起こり、頭痛を温めると痛みがひどくなります。
頭痛を冷やすと血管が収縮し、痛みが軽減されることがあります。
アルコールやカフェインも控えましょう。

緊張型頭痛は、長時間同じ姿勢でいる場合は姿勢を変えたり、血行をよくするためのストレッチをしたりするのがおすすめです。
片頭痛とは異なり、体を冷やすのではなく、温めるように心がけましょう。

症状がひどい場合は、薬局で頭痛薬や漢方薬を購入することもできます。
購入の際は、薬局・薬店の薬剤師または登録販売者に相談してみましょう。

更年期の頭痛を予防するには?

更年期障害の緩和には、生活習慣を改善し、健康な身体を維持することが大切です。
規則正しい食生活や運動習慣を心がけ、ストレスのない生活を送るようにしましょう。

朝晩のストレッチをする

頭が締め付けられるように痛む緊張型頭痛は、長時間の同じ姿勢や疲労で悪化します。
長時間の姿勢や無理な姿勢をできるだけ避け、朝晩に適度なストレッチをして、首や肩まわりの血行を促進しましょう。
ストレッチの他には、ウォーキングなどの有酸素運動も血流を良くしますし、ヨガによって緊張型頭痛の頻度、持続時間、強度が緩和するとされているため、運動の一環として、ヨガを取り入れてみてもよいでしょう。

ストレスをためない生活を意識する

更年期は心身ともに不調が増えるため、自分のペースを守り、ストレスをためないようにすることが必要です。
規則正しく健康的な生活を意識しつつ、心身にストレスを与えないように気をつけましょう。

大豆食品やサプリメントの摂取

豆腐や納豆などの大豆製品に含まれる大豆イソフラボンは、エストロゲンと似たような働きをする成分です。
そのため、大豆製品を積極的に食事に取り入れることで、自律神経の乱れを整え、更年期の頭痛を和らげる効果も期待できます。
ただし、二人に一人は大豆イソフラボンから症状緩和に有効な「エクオール」を体内で作り出す腸内細菌を持っていないといわれているため、サプリメントから摂取するのも得策です。

生活習慣を整える

生活習慣が乱れると、自律神経のバランスが崩れ、頭痛が起こりやすくなります。
前述したストレッチやウォーキングなどの適度な運動に加え、十分な睡眠をとるなどして生活習慣を整えることが望ましいでしょう。

漢方薬で根本から改善する

更年期には女性ホルモンが変動します。
その結果、漢方でいう「気」「血」「水」のバランスが乱れ、頭痛やイライラなどの更年期障害が引き起こされます。
漢方薬は、体質改善を目指すことで、更年期の頭痛の発生を根本的に抑えたい方におすすめです。

環境を整え、更年期障害と上手に付き合おう

更年期に伴う頭痛の種類と対処法についてご紹介しました。
更年期は一般的に45~55歳という長い期間をかけて、つらい症状が目立ってくる時期ですが、ホルモンバランスの調整、食事、運動などで改善されることがあります。

ただ、その頭痛の中には「脳腫瘍」「くも膜下出血」「薬剤性頭痛」「睡眠時無呼吸症候群」など、危険な病気が隠れているケースもあります。
特に、急に激しい頭痛に悩まされるようになった、50歳を過ぎて初めて頭痛を経験したなど、あるいは元々片頭痛や緊張型頭痛はあるが、いつもと違う症状が出ている場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。

当院でも、更年期障害だけでなく、片頭痛・緊張型頭痛を含めた更年期の生活習慣に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。