月経不順とは? 主な症状・原因について

2023.01.26

月経周期は毎回同じとは限りませんが、月経が来ない・不安定など、周期が乱れている場合は注意が必要です。
月経周期が乱れることを「月経不順」(生理不順)といい、様々な原因が考えられます。

月経不順を放っておくと不妊の原因になることもありますので、健康管理のためにもご自身の月経周期を把握しておきましょう。

月経不順とは?

女性の月経周期には個人差がありますが、正常な周期は25日~28日と定義され、この周期を繰り返しています。
ただし周期は3~7日と変動し、月経周期が次の周期にずれるのも正常なことです。
月経周期がこの範囲内であれば正常とされますが、この範囲外の場合は「月経不順」と呼ばれます。

月経不順は子宮の発育や卵巣機能に悪影響が出て、特に若い世代の場合は将来的に妊娠しにくくなることが懸念されます。
それ以外は状態によって異なりますが、長い間放っておくと将来的に子宮体がんになる可能性や、骨粗鬆症による骨折の原因になることなどが挙げられます。

また月経不順は、卵子が育っていない、あるいは子宮内膜が作られていないことを示している場合があります。
女性ホルモンが分泌されないと、卵子が育たず、子宮内膜も作られないため、長期間月経がない「無月経」になることがあります。
さらに、排卵が起こっていない可能性もあり、排卵が起こらないと子宮内膜だけがどんどん溜まっていきます。
この場合、子宮内膜は増殖し続けるため、子宮体がんのリスクが高まります。

月経不順の種類

毎月決まった周期で月経がないのは、必ずしも異常ではありません。
前述のように、約25~28日周期から3~7日間くらいずれるのは正常の範囲内ですが、40~50日以上の周期や3週間未満で月経が起こる場合は問題です。

稀発月経

月経が40~50日以上おきに起こる場合を、稀発月経と呼びます。
周期が徐々に長くなるケースと、急に長くなるケースがあり、原因は卵巣の機能が低下し、ホルモンが正常に分泌されないためと考えられています。
月経出血のように見えても実は無排卵出血であることも多いので、特に妊娠・出産を考えている場合は、すぐに産婦人科を受診することをおすすめします。
排卵が起これば、月経周期が稀発月経でも妊娠・出産は可能です。
ただ、生まれつき卵胞の発育に時間がかかる女性もいるため、月経が規則正しい場合は39日以上の周期でも問題がないこともあります。

頻発月経

月経の回数が多い、月経のような出血があるのが頻発月経です。この場合は一見月経のような出血に見えても、実は排卵が起こっていない「無排卵出血」だということがあります。
月経周期が24日以内と短い場合、「頻発月経」に分類され、周期が24日以内であれば1ヶ月に2回の月経がある方もいます。
稀発月経と同様、卵巣機能の低下によるホルモンバランスの乱れと考えられています。

また、黄体形成ホルモンの分泌不足により、排卵日から月経開始までの期間が短くなる黄体機能不全も原因のひとつです。
黄体形成ホルモンの分泌が不十分だと、子宮内膜の成熟も不十分となり、妊娠しにくくなったり、妊娠しても流産してしまったりすることがあります。
こちらも妊娠・出産を希望される方は、早めに婦人科を受診し、ホルモン値を確認することをおすすめします。

無月経

無月経とは、90日以上月経がない状態を指します。排卵がないためにホルモンの働きが低下し、ほとんど止まってしまうのが原因であることが多いです。
この無月経を長期間(目安7ヶ月以上)放置すると、ホルモンのアンバランスがますます強くなり、頑固なホルモン異常、排卵障害になってしまうことがあります。
無月経が3ヶ月以上続く場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。
妊娠の可能性がある場合も同様です。

そのほかには、月経が8日以上続く過長月経や、2日以内に終わってしまう過短月経などがあります。

月経不順の原因

月経不順の原因は様々ですが、その中でも最も多いのがホルモンバランスの乱れです。

通常、月経は卵胞ホルモンや黄体ホルモンなどの女性ホルモンによってコントロールされています。
これらの女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部、下垂体、卵巣の3つの器官によって調節され、正常であれば月経が開始されるのですが、この器官が正常に機能していないために月経が起こらないのです。
3つの器官のうち1つでも正常に機能しないと、月経が始まらなかったり、周期が乱れたりすることがあります。

中でも視床下部はストレスの影響を受けやすく、家庭や職場、学校などで精神的なストレスを受けると、視床下部の働きが乱れ、ホルモンバランスが崩れて月経不順になることがあります。
また、激しい運動や過度なダイエットも月経不順の原因になり、これが酷くなると女性ホルモン自体が分泌されなくなるので注意が必要です。

さらに、以下の病気や異常でも月経不順が起こります。

多嚢胞性卵巣症候群

月経不順の患者さんの多くみられ、20代以上の女性に最も多い無排卵の原因で、20人に1人の割合で存在します。
排卵しにくくなる病気で、放置すると不妊症のリスクが高まります。
排卵はしにくいものの、女性ホルモンの分泌が止まることはほとんどありません。

高プロラクチン血症

プロラクチンは授乳のためのホルモンで、産後に分泌され、排卵を抑制する働きがあり、産後すぐに妊娠しないようにするためのものです。
高プロラクチン血症は、出産していないにもかかわらずプロラクチンの分泌が増加することで起こります。
そのため、排卵が起こりにくくなり、月経不順や無月経になります。

甲状腺機能障害

のどにある甲状腺から分泌されるホルモンに異常がある場合、月経不順が起こることがあります。
他にも様々な病気を引き起こす可能性があるため、早めに適切な治療を受けることが必要です。

月経不順は改善できる?

多嚢胞性卵巣症候群などの場合、自然な排卵を完全に取り戻すことはやや難しい目標ですが、適切な薬を処方することで正常な月経周期を維持することは可能です。
あまり神経質にならずに、治療を続けてください。

甲状腺機能障害などの病気が原因の場合は、月経周期を正常に戻せる可能性があるため、きちんと治療することが大切です。

また、食生活や過度な運動、ストレスなどが原因となっている場合は、ご自身の状態を把握し、心身に負担をかけないように治療や生活習慣を改善することが大切です。

女性ホルモンが分泌されない段階になった場合は、女性ホルモンの服用を続ける必要がありますが、排卵がない場合は比較的早い改善が期待できます。
治療を継続することで、将来の妊娠に悪影響を及ぼす心配も少なくなります。

月経不順が疑われる場合は医師に相談を

月経不順には、様々な原因や症状があります。
今回ご紹介したような症状がみられる場合は早めに医師に相談することをおすすめします。
なお、受診する際は基礎体温表があればスムーズなので、記録している場合は持参すると良いでしょう。

当院でも、月経不順に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。