妊娠中におすすめの栄養素と注意すべき食品は?

2023.02.21

妊娠中は赤ちゃんの多くの器官が形成される大切な時期で、お母さんの食生活がお子さんの健康や発育に大きな影響を与えます。

また、母体のホルモンバランスも大きく変化するので、自身の健康のためにもバランスの良い食事を心がけることが大切です。

妊娠中の食事はどう気をつければ良いか

妊娠中は、赤ちゃんのためにたくさん食べようと焦る方もいらっしゃるかもしれませんが、無理に食べると体に負担がかかるのでおすすめしません。

無理して食べなければと思う方もいますが、妊娠初期の赤ちゃんは卵黄嚢という器官で栄養をとっているため、栄養不足になる心配はほとんどありません。
つわりによって食欲が低下したり、一時的に味覚が変化したりするお母さんも少なくないので、その場合は特に無理して食べなくて良いのです。

その代わり、量よりもバランスよく食べることを心がけ、栄養摂取の効率が良い食事を心がけましょう。

胎盤が完成する妊娠中期は、お母さんの食事から摂った栄養が胎盤を通して赤ちゃんに届けられるようになります。
この時期になると、つわりも徐々に落ち着き、普通の生活ができるようになることが多いので、妊娠5~6ヶ月以降からは特に力を入れて食事や生活習慣に気を配るようにしましょう。

妊娠中に摂取したい栄養素と避けるべきものは?

妊娠中に積極的に摂りたい食材や栄養素がある一方で、避けるべきものもあります。
妊娠前と同じような食生活を送っていると、知らず知らずのうちに母体や赤ちゃんに悪影響を及ぼす成分を摂取してしまう可能性があるので注意しましょう。

また、妊娠中は免疫力が低下し食中毒などにかかりやすくなっているので、食中毒の原因となりやすい生ものを避けるようにしましょう。

妊娠中に摂取したい栄養素

葉酸

葉酸は、ビタミンB群の一種で赤ちゃんの正常な発育に重要な役割を果たします。
細胞や血液を作る働きがあるため、妊娠前や妊娠初期に葉酸を多く摂取することで赤ちゃんの神経管障害のリスクを減らすことができ、お母さんの貧血を予防する役割もあります。

葉酸を多く含む食品は、緑黄色野菜、大豆食品、海藻類などで、摂りやすいものには、ほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリー、かぼちゃ、枝豆、いちご、バナナなどが挙げられます。

葉酸は水に溶けやすく熱に弱いので、茹でたり焼いたりせず、軽く蒸したり生で食べるのがおすすめですが、もしつわりで満足に食事ができない場合は、サプリメントなどから必要な葉酸を摂取しましょう。

鉄分

妊娠中は、赤ちゃんの成長を支えるために母体が鉄分不足になりやすく、めまいや頭痛、立ちくらみ、息切れなどの貧血の症状に悩まされることがあるため、妊娠初期から積極的に鉄分を摂取することをおすすめします。

鉄分を多く含む食品は、魚介類、大豆食品、緑黄色野菜などで、摂りやすいものには、赤身の魚、プルーン、レバー、大豆、ひじきなどが挙げられます。
鉄は体内に吸収されにくいため、吸収を助けるビタミンCと一緒に摂取することをおすすめします。
また、動物性食品に含まれる鉄分の方が体内への吸収率が高いといわれています。

カルシウム、ビタミンD

カルシウムは、体の機能や調子を整えるミネラルのひとつで、赤ちゃんの骨や歯をつくる栄養素です。
カルシウムが不足すると、赤ちゃんの発育に影響を与えるだけでなく、お母さんの骨がもろくなったり、心が落ち着かずイライラしやすくなったりすることがあります。

乳製品や大豆食品、小魚、海藻などに多く含まれ、カルシウムの吸収を助けるビタミンDと一緒に摂ることをおすすめします。
ビタミンDを多く含む食品としては、魚やキノコ類が挙げられます。

たんぱく質

たんぱく質は、赤ちゃんとお母さんの血液や筋肉をつくる大切な栄養素です。
体内で作ることのできない必須アミノ酸をバランスよく含む、良質なたんぱく質を摂取することが大切です。
良質なたんぱく質を摂取できる食品には、肉、魚、大豆食品、卵、牛乳、乳製品などがあります。

食物繊維

妊娠中はホルモンバランスの乱れや大きくなった子宮の圧迫などにより、便秘が起こりやすくなります。
食物繊維は、便秘の予防や改善に効果的な栄養素で、穀類、野菜、果物、きのこ類、海藻類などに多く含まれていて、おからや昆布、ごぼうなどがおすすめです。

妊娠中の摂取は注意すべき栄養素

ビタミンA

ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保つ栄養素ですが、妊娠初期に過剰に摂取すると、赤ちゃんに器官形成不全を起こすことがあります。
代表的なものにうなぎが挙げられますが、毎日大量に摂取しない限り、実際に問題となるケースは少ないです。ただし、サプリメントによる過剰摂取の方が問題となるため医師や栄養士に相談しましょう。

カフェイン

カフェインの過剰摂取は高血圧のリスクを高め、妊娠中に高濃度のカフェインを摂取すると赤ちゃんの成長が阻害され、低体重になりやすいことが報告されています。
そのため、どうしても妊娠中にコーヒーや紅茶を飲みたい場合は、出来ればカフェインレスのものにしましょう。

アルコール類

妊娠中のアルコール摂取は流産のリスクを高める危険があります。
アルコールの代謝物が胎盤を通過し赤ちゃんにさまざまな影響を及ぼすため、基本的には妊娠中のアルコール摂取は避けるべきです。

塩分

妊娠中に塩分を過剰に摂取すると「妊娠高血圧症候群」になる可能性があります。
水分補給とカリウムの摂取で余分な塩分を体外に排出することができ、カリウムを多く含む食品は野菜や果物が挙げられます。

妊娠中は安心で無理のない食生活を送ろう!

妊娠中はお母さんも赤ちゃんも健康に過ごせるように、積極的に摂りたい栄養素を中心とした食生活を心がけ、なるべく無理なく食べたい時に食べることをおすすめします。

当院でも、妊娠前や妊娠中の食生活に関するアドバイスや指導を行なっていますので、お気軽にご相談ください。