アロマテラピーで更年期障害の症状を緩和? 使い方やおすすめの精油

2023.02.24

更年期障害の代表的な症状には、気分の落ち込みやイライラ、抑うつ感や無気力、不安感などがあります。
このような症状には精油を使った「アロマテラピー」が効果的で、更年期症状のケア方法の1つとして推奨され、ご家庭でも簡単に導入できます。

アロマテラピーとは

アロマテラピーは、植物から抽出された「精油(エッセンシャルオイル)」を用いて心身の不調を回復させる自然療法です。

日々研究が進んでおり、アロマテラピーは美容や健康、リラクゼーションのほか、医療や予防医学の分野でも広く活用され、更年期障害の緩和にも有効であるという研究結果が出ています。

更年期障害にアロマテラピーがおすすめの理由

更年期障害の主な原因は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減少することによるホルモンバランスの乱れです。
更年期障害を緩和するためには女性ホルモンを増やすことが効果的ですが、アロマテラピーに使われるエッセンシャルオイルには、さまざまな効果を持つ香り分子が詰まっています。

精油の中にはエストロゲンに似た作用を持つものがあり、女性ホルモンの分泌やホルモンバランスを整え、更年期特有の諸症状の緩和・軽減が期待できるといわれているのです。
精油とは、植物の芳香成分を抽出したエッセンスのことで、「エッセンシャルオイル」もしくは「アロマオイル」とも呼ばれます。
植物の花、葉、皮、果実、根などから、蒸したり皮を圧搾したりし、香気成分を抽出します。

なおアロマテラピーに使われる精油は、合成香料が含まれていないものを使用する必要があるため、購入する際はアロマテラピーの専門店で購入することをおすすめします。

日常生活でのアロマテラピーの取り入れ方

アロマテラピーを日常生活に取り入れる方法は、主に下記になります。

芳香浴

精油を空気中に拡散させる方法で、ティッシュやハンカチに1~2滴のエッセンシャルオイルを垂らすと、簡単にアロマテラピーが楽しめます。
枕元や机の下にティッシュやハンカチを置いておくだけで、香りが漂い、リラックスできます。
アロマディフューザーを使用しても、心地よい香りを部屋中に漂わせることができます。

湿布法

肩こりや腰痛などに悩まされている場合は、タオルなどを体の一部に当てる湿布法がおすすめです。
湿布はまず洗面器にお湯を張り、精油を1~3滴垂らし、お湯をタオルに付着させ軽く絞って気になる部分に当てましょう。
精油の種類によっては強い刺激を感じることがあるため、肌の弱い部分への使用は避け、刺激を感じたら中止して下さい。

トリートメント法

専用のトリートメントオイルを顔や体にやさしくなじませ、マッサージをする方法です。
リラックス効果や保湿効果、肌の調子を整える効果に加え、血行促進や筋肉のコリをほぐす効果も期待できるため、更年期のむくみが気になるときにおすすめです。敏感肌の方は、まず低濃度からお試しください。

アロマバス

浴槽に精油を1~3滴ほど入れ、よくかき混ぜて、ゆっくりと香りを楽しみながら入浴する方法です。
浴槽に直接精油を入れたくない場合は、洗面器にお湯を張り精油を垂らすと、浴室内にも香りが広がります。
入浴後も香りが残るので、眠りにつきやすくなります。
じっとしていると精油が浮いてきてしまうので、時々かき混ぜるようにして下さい。

更年期障害の症状緩和のためにおすすめの精油

更年期障害に効果的とされる主な精油の種類は、下記のものが挙げられます。

ローズ

ローズの精油の香りを嗅ぐだけで、唾液中のエストロゲン濃度が上昇したという研究結果があります。
また、不安感の減少、肌の調子を整えるなど、更年期症状の緩和が期待されています。

ゼラニウム

ローズと同様に、ゼラニウムの精油は嗅ぐだけで唾液中のエストロゲン濃度が上昇することが研究で明らかになっています。
ほんのり甘く、青みがかったバラのような香りが特徴で、精神面の向上のほか、肌や髪の潤いを高め、抜け毛を改善する効果もあることがわかっています。

クラリセージ

クラリセージ精油は少し甘い香りが特徴で、呼吸を緩やかにする作用があるとされています。
呼吸が浅い、速いと感じたら、クラリセージの香りを嗅いでみてください。

ローズマリー

ローズマリー精油は清涼感のある香りが特徴で、気持ちをすっきりさせ、精神的な疲労を和らげる効果があるとされています。
頭が重い、だるい、やる気が出ないといった症状の緩和や、ストレスによる精神的な疲労の回復が期待できます。

ラベンダー

ラベンダー精油は、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果があるため、イライラしがちな時はラベンダーで気持ちを落ち着かせるとよいでしょう。
また、睡眠の質を高める効果もあるので、不眠の症状がある方はぜひ試してみてください。

グレープフルーツ

グレープフルーツの香りには、交感神経の働きを高めることが期待できるため、頭が働かない、やる気が出ないという時に活用するのが効果的です。

サイプレス

サイプレスの精油の香りは、ほてりや肩こりを和らげる効果が期待でき、主にアロマトリートメントに使用すると効果的です。

ネロリ

ネロリ精油を嗅ぐことで皮膚の温度が回復し、冷え性にも効果があることが分かっています。

アロマテラピーを行う際の注意点

心身にさまざまな良い影響を与える精油ですが、使い方を間違えるとトラブルを引き起こすこともあります。

必ず「精油」を使用する

アロマテラピーでは、植物から100%抽出された精油を使用します。
雑貨屋さんで売っている「ポプリオイル」「フレグランスオイル」などは精油ではなく人工香料のため、アロマテラピーでは使用しません。
また、「アロマオイル」と表示されているものでも、精油とは異なる場合がありますのでご注意ください。
アロマテラピーを行う際は、「エッセンシャルオイル」「精油」と表示されているものだけを選ぶようにしましょう。

原液を肌に直接塗布しない

精油の原液は刺激が強いため、肌に直接塗布しないようにしましょう。
誤って原液の精油を直接肌につけてしまった場合はすぐに水で洗い流し、異常が出た場合は医師の診察を受けてください。

目に入らないようにする

目は皮膚よりも敏感なため精油がついた手でこすらないようにし、万が一誤って目に入ってしまった場合はすぐに水で洗い流し、眼科医の診察を受けましょう。

アロマテラピーで心身を労わる時間を作ってみましょう

アロマテラピーは、精油があればすぐにでも始めることができます。
リラックスして楽しむことが主な目的であり、使用する精油に決まりはありません。
効果にこだわりすぎずに好きな精油や、香りを嗅いだ時に心地よいと感じる精油を使用してみて下さい。
ただ、このようなアロマセラピーを行なっても症状が改善しなかったり、症状自体が強くなってくるようであれば、婦人科外来を受診し、適切な治療をうけることが大切です。