超高齢社会による骨粗鬆症の原因と予防法
超高齢社会が進んでいる日本では、骨粗鬆症の患者が増加傾向にあるといわれています。
主に50歳代以降の女性がかかりやすい病気ですが、男性も生活習慣の積み重ね次第では、高齢になるにつれて発症のリスクが高まっていきます。
骨粗鬆症の発症リスクを減らすには、若いころからの食事や運動などの生活習慣を見直してみることをおすすめします。
骨粗鬆症とは? 加齢とともに高まる危険
近年一般的にも浸透したと言っても良い「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」という病気は、一体どんなものなのでしょうか?
骨粗鬆症とは、骨密度が低下し骨が劣化していく病気です。
劣化した骨は強度が下がり、骨折を起こしやすくなります。
骨粗鬆症の初期には自覚症状がなく、骨折して初めて骨粗鬆症であることがわかるケースが多いといわれています。
骨粗鬆症の症状が進むと背中や腰などの痛みを自覚するようになり、やがて転倒しただけで簡単に骨折したり、スカスカになった骨が潰れて背中が曲がったり、身長が縮んだりする圧迫骨折を引き起こします。
転倒やつまずいたときに骨粗鬆症によって骨折する危険性は、年齢が上がるほど高まります。
高齢者の方は骨折が原因となって寝たきりとなり、介護が必要になってしまうことも少なくありません。
結果、骨粗鬆症による骨折が悪い連鎖を起こす引き金になってしまうことがあります。
骨粗鬆症の原因とは?
体の中では、絶えず古い骨を壊し新しい骨を作る活動、いわゆる新陳代謝が行われています。このバランスが崩れると骨粗鬆症を発症しやすくなります。
骨の中のカルシウムの減少も原因のひとつです。骨量は年を重ねるごとに減少していくため、ある意味自然な生理的現象です。
しかし、遺伝や生活習慣によって骨中カルシウムの減少スピードには個人差があります。
また、糖尿病や腎不全、胃を切除した方など、持病のある方は骨粗鬆症を発生する危険因子を抱えているといえます。
骨粗鬆症は、閉経期を迎えた50歳代以降の女性に発症が多いといわれています。女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少するため、新陳代謝のバランスが崩れ骨の強度が低下していきます。
一般的に、骨粗鬆症といわれているもののほとんどは、この「閉経後骨粗鬆症」です。
女性は男性に比べて骨密度がもともと低く、男性は女性のように急激にエストロゲンが減少することがないため、男性よりも圧倒的に女性に多い病気です。
しかし、男性でも生活習慣の影響が骨粗鬆症に繋がることがあり、高齢になるにつれて患者が増加していきますので、決して油断はできません。
生活習慣から骨粗鬆症を予防しよう
加齢による老化とともに生じる体内の変化は、仕方がないことかもしれません。
しかし、日々の生活習慣を改善することで骨粗鬆症の発症リスクを下げることができます。
日常生活で取り入れやすい、以下のような点に気をつけましょう。
バランスのよい食事
野菜と果物を多く食べる人ほど骨密度が高いといわれています。骨の強化に欠かせないカルシウムやビタミンD、ビタミンKを多く含む食事を普段から心がけることが大切です。
無理のない適度な運動
適度な運動は、足の筋肉が鍛えられることで転倒を予防する効果があり、骨密度を増加させる効果もあります。
また、日光を浴びると骨の強化に必要なビタミンD が体内で合成されるため、ウォーキングなど屋外で行える適度な運動は、骨粗鬆症予防と健康維持にとって大変有効です。
決して無理はせずに、自分に合った適度な運動を生活習慣に取り入れましょう。
タバコやお酒は控えめに
アルコールやカフェインの過剰な摂取の積み重ねも、骨粗鬆症の促進に繋がる原因になるといわれているので控えましょう。
特に女性の喫煙は、女性ホルモンを減少させるため注意が必要です。
転倒による骨折に注意
骨粗鬆症の方が一番気をつけるべきは「転倒による骨折」です。
サンダルや丈の長いスカートなどの歩きにくい服装は転倒の原因になるため注意が必要です。
また、高齢者の転倒は外出先よりも家の中が多いといわれています。あらかじめ転倒の危険がある箇所の確認や、部屋の整理整頓をしましょう。骨折のきっかけとなる危険を減らすことが大切です。
骨粗鬆症かも? と思ったら
骨粗鬆症は、初期段階では自覚症状は全くありませんが、サイレント・ディジーズ(静かな病気)と言われるほど、徐々に進行している可能性があります。
自覚できる症状が出る前に、ご自身の骨量を知っておくと良いでしょう。
女性であれば20代から40代の間にまず一度骨密度検査をしておくことで、閉経後の骨密度との比較ができるためおすすめです。
閉経後は出来れば年に1回の骨密度検査をおすすめします。
骨密度検査は、お住まいの保健センターや保健所に問い合わせると、検査を行っている医療機関を紹介してくれます。
また、多く自治体では特定の年齢の女性を対象に、独自の骨粗鬆症の公的な検診を行っているので、積極的に利用してみましょう。
当院でも骨密度検査や、骨粗鬆症の専門的な診察も行っています。気がかりなことがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。