女性ホルモン減少で身体が乾燥しやすくなる?

2020.09.22

日本の冬は気温とともに湿度も下がるため空気が乾燥し、肌が乾いてカサカサになったり、朝起きると口の中がカラカラに渇いていることがあります。
空気が乾燥する時期はしっかりとしたケアが必要ですが、実は加齢に伴う女性ホルモンの減少や、更年期が原因となって身体が乾燥する症状に悩まされるケースもみられます。

さらに、肌や口内だけでなく目や腟の乾燥に悩まされる方も多く、最近では身体が乾燥する症状を一つの症候群と捉えて「ドライシンドローム(乾燥症候群)」と呼ばれています。

ドライシンドローム(乾燥症候群)の主な症状

ドライシンドローム(乾燥症候群)は、主に下記の4つの症状に分けられます。

ドライスキン(肌の乾燥)

ドライスキンは乾燥肌とも呼ばれ、皮膚の水分や皮脂量が不足して肌が乾いてしまう症状のことをいいます。
肌が乾燥することで、さまざまな外部の刺激から皮膚を守るバリア機能が低下し、かゆみや肌荒れなどの症状が起こる原因となります。

ドライマウス(口内の乾燥)

ドライマウスは口内で唾液の分泌が減少し、カラカラに渇いてしまう症状です。口内が乾燥することにより、ネバネバするような不快感や口臭が気になったりするだけでなく、慢性化すると虫歯の原因となることもあります。
また、食べ物の味が分かりづらくなったり、飲み込みづらくなることもありますので注意が必要です。

ドライアイ(目の乾燥)

ドライアイは目が乾燥することでかゆみを感じたり、目がゴロゴロする、赤くなる、疲れやすくなるなどのさまざまな症状を引き起こします。
さらに、乾燥して涙が足りなくなると目が傷つきやすい状態になるため、かゆくても手でこすったりせずに専門医に相談しましょう。

ドライバジャイナ(腟の乾燥)

ドライバジャイナは腟周辺の粘膜が乾く症状で、乾燥するとヒリヒリした痛みや性交痛を感じることがあります。
女性ホルモンの減少によって影響され起こりやすく、更年期を迎えた女性に多くみられる症状です。また、乾燥することで腟粘膜が薄くなり細菌に感染しやすく、膣炎を起こす場合もあります。

ドライシンドローム(乾燥症候群)が起こる仕組み

ドライシンドローム(乾燥症候群)は、「外分泌線」という唾液や涙、汗などの分泌物を作って放出し、身体の乾燥を防いでいる器官の働きが弱くなっている状態を指します。
症状が起こる原因は季節の変化や体質などによるものもありますが、そのほかにはエアコンの使用による空気の乾燥、バソコンやスマートフォンの使いすぎや食生活の乱れ、ストレスや運動不足などが挙げられます。

さらに、ドライシンドローム(乾燥症候群)は女性に起こることが多く、加齢に伴う女性ホルモンの減少が大きく関係しているといわれています。
女性ホルモンには皮膚や粘膜を保護して潤いを保つ働きがあるため、更年期になり分泌が減少することで身体が乾燥しやすくなります。

一方で、口内と目の乾燥にはシェーグレン症候群という病気が原因となっている場合もあり、悪化するとさらなる症状を引き起こす恐れがありますので自己判断せずにまずは医師の診察を受けることをオススメします。

ドライシンドローム(乾燥症候群)を防ぐには?

ドライシンドローム(乾燥症候群)を防ぐには、まずはしっかりと睡眠時間を確保し、規則正しい食事を心がけるなど生活リズムを整え、ストレスを溜めないようにすることが大切です。
また、空気の乾燥を防ぐためにも冬は加湿器などを用意して部屋の湿度を調整するようにしましょう。

さらに、女性ホルモンの減少が原因となって起こる身体の乾燥を防ぐためには、大豆や大豆食品、あるいはサプリメントなどからエクオールという女性ホルモンによく似た働きをする成分を日頃から摂取するように心がけておくとよいでしょう。
そのほかには、更年期の症状改善が期待されるホルモン補充療法(HRT)や漢方薬も効果的ですので、気になる場合は医師に相談してみましょう。

当院でも、ドライシンドローム(乾燥症候群)をはじめとする更年期の症状に関するアドバイスや指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。