生理前の過ごし方と心構えについて

2021.07.29

仕事や勉強、スポーツなどでいつもの調子が出ないとき、実は生理前のPMS(月経前症候群)で体調が万全ではなかった、ということは非常に多くの女性が経験しています。
そのため、生理前はいつもより生活リズムを整えたり、こまめにストレスを解消したりしてPMS対策を実践する方もいらっしゃいますが、生理前の日々の具体的な過ごし方や心構えも含めて見直してみると、生理までの時間をさらに有意義に過ごせるかもしれません。

PMS(月経前症候群)対策と同じくらい大切な「心構え」とは?

生理前1~2週間前あたりから始まる心身の不調の多くはPMS(月経前症候群)が原因です。
そのまま何もせずにいると腹痛や頭痛、気分の落ち込み、イライラ、やる気が出ない、熱っぽい、むくみ、体重の増加、食欲が止まらないなどの症状が生理開始まで続いてしまうため、生理前の期間を不調のまま終わらせないためにも、この時期に何らかのPMS対策を実践している方が多くいらっしゃいます。

たとえば、「なるべく健康的な食事と適度な運動を心がける」「お湯につかって血行を良くする」「イライラしたらハーブティーを飲む」などがその一例ですが、生理前のつらい日々をもっと楽しく、有意義に過ごすには「無理をせず、嫌なことはできる限りしない」というご自身を解放するマインドを持つことが大切です。
というのも、PMS対策を含めた様々なことに意欲的に取り組むアクティブさが、かえって生理前のつらさに拍車をかけてしまう場合もあるからです。

生理前のおすすめの過ごし方と心構え

女性にとって、生理後の1週間は貴重な体調良好週間です。しかし逆を言えば、これ以外の期間は常に何らかの不調があっても不思議ではなく、男性と比べると体調に波が出やすいのは事実でしょう。
だからこそ、「生理前だからといって時間を無駄にしたくない」とがんばる気持ちもわからなくはありませんが、医学的な立場からは、いつもよりほんの少しだけご自身を甘やかすことをおすすめします。

睡眠時間は多めに確保 明日できることは今日やらない

たとえば、仕事や勉強を早めに切り上げて、睡眠時間をたっぷり取ることもその一例です。
そのためには、就寝時間が遅くなってしまわないよう、「明日できることは今日やらない」という気持ちを持って、時間を睡眠のためにまわす必要があります。

食欲を認めてしっかり食べる 体重計に乗らない選択も

生理前はいつも以上に食欲が出て、たくさん食べてしまう方がいらっしゃいます。
また、生理前はむくみで太ったように感じやすいため、体重の増加を心配される方も非常に多いと思われます。
実際、生理前は水分を溜め込みやすくなるため1~3キロほど体重が増加する場合がありますが、この時期に増えた体重は生理が始まった時点で元に戻ることがほとんどです。
したがって、生理前はあまり体重を気にせず、食欲を素直に認めてしっかり食べることも大切です。
生理前は体重計に乗ると気分が落ち込むことが多いので、この時期は体重を測らないのも手です。

運動は無理して行う必要なし

前述の通り、生理前はむくみで太ったように感じやすいため、運動でカロリーを消費しようとする方がいらっしゃいます。しかし、PMSで体調が芳しくない中での運動はストレスになりますし、思うように動けないイライラが募って、さらに体調が悪化してしまう可能性もあります。
適度な運動は確かにストレス発散になりますし、血行促進にも効果的ですが、ストレスになるほど負担を感じてしまう場合には無理して行う必要はありません。
室内でゆっくりストレッチしたり、近所をお散歩したりするだけでも十分です。

帰宅後は好きなことだけして過ごすのもあり

生理前は疲れた体に鞭を打って仕事をしたり、勉強したりするのには適さない時期です。
PMSでイライラや気分落ち込みが続く場合は、帰宅後に好きなことだけをして過ごすのもおすすめです。
「疲れることや、嫌なことはなるべくやらず、考えない」。これだけでふさいでいた気持ちが晴れやかになることもあります。

重要な決断はできるだけ後回しに

生理前は情緒不安定な状態になりがちなので、今後のライフプランに大きな影響を与えるような決断はしない方が無難です。
具体的には、パートナーとの関係、就職・転職、金額の大きな買い物などの決断はなるべく控えた方が良いかもしれません。

「医療に頼っても良い」という気持ちも大切に

手軽に実践できるPMSのセルフケアとちょっとした気持ちの持ちようで、生理前の憂鬱な日々も幾分晴れやかになります。
しかし、日常生活に支障が出る場合は低用量ピルなどのホルモン剤や漢方薬などを使ってPMSの症状を和らげた方が早く解決できる場合も。
PMSは多くの女性が経験している症状ではありますが、れっきとした病気です。
「みんな我慢しているのだから」と一人で悩まず、早めに医療機関を受診しましょう。

当院でも、生理前の体調やPMS対策に関するアドバイス・指導を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。